AI搭載ブラウザ「Comet」の広告モデル

by Shogo

Perplexity社が発表しているAI搭載ブラウザ「Comet」について、その広告業界に与える影響について、Ad Ageに記事が出ていた。Ad Ageは、インターネットの利用方法と広告のあり方に革命をもたらす可能性があると指摘していた。Cometの核となる「agentic search(エージェント型検索)」機能は、広告主と消費者のコミュニケーションを大きく変えるというのだ。

Cometは、Perplexity社の発表によると、Chromeなどと同じChromiumを基盤として開発され、デスクトップとモバイルの両方に対応する予定だ。主な特徴として、AIによる複雑な指示理解と自律的タスク実行、自然言語処理(NLP)機能の統合、セキュリティ強化、インテリジェントなタブ管理、高度な文章作成支援、パーソナライズされたカスタマイズ、アクセシビリティ向上などが挙げられる。また、Cometは、独自の広告モデルを導入することも発表している。

Cometの登場により、広告のターゲティングと配信の主体が「ユーザー」から「AIエージェント」へと移行する可能性があるということだ。これにより、広告主はAIエージェントの特性とユーザーの意図を深く理解する必要があり、AIエージェントがユーザーの代わりに広告を選別する可能性も考えられる。また、ユーザーがAIエージェントに広告ブロックを指示する可能性もある。

つまり今後は、広告主が人間の消費者ではなく、AIエージェントの思考傾向を理解する必要性があるということだ。また、AIエージェントを搭載したプラットフォームに対応した新しい広告フォーマットが必要になる。

AIを活用した新しい広告として、よりパーソナライズされた広告、インタラクティブな広告、AIエージェントの注意を引くための新しい広告モデル、クッキーに依存しないAI駆動型の高インパクト広告フォーマットなどが考えられるだろう。

しかし、Cometの広告モデルは課題もある。ユーザーによるAIエージェントへの広告ブロック指示、悪意のあるボットによる不正クリック、プライバシー侵害のリスク、サイバーセキュリティの脅威、AIの誤った意思決定による経済的損失や評判の低下などが懸念される。

広告に関して言えば、Perplexityは既に広告事業を開始しており、2024年11月に広告プラットフォームを追加し、著作権者との収益分配プログラムを実施している。15の異なる業界カテゴリを対象とした広告を展開し、スポンサー付きのフォローアップ質問や有料メディアとして広告を表示している。これの評価がや収益力がどうかはまだネットでは報道されていない。

AIブラウザ、Comet、PerplexityはGoogleのブラウザ市場支配にさらに挑戦する。ブラウザレベルのデータをコントロールすることで、使い勝手を良くしてGoogleとの競争を激化させるだろう。たしかに、ブラウザを開いて、そこからAIチャットボットを立ち上げるより、AIブラウザを使う方が簡単だ。

AIブラウザの到来により、広告業界は大きな変革期を迎えるのだろう。AIエージェントによるユーザーのニーズや文脈の深い理解、より粒度の細かいユーザー情報に基づいた広告商品の開発、「Buy with Pro」や「Snap to Shop」などの直接購入機能の統合、AIを活用したコンテクスチュアルターゲティングなど、新しい広告が実現する可能性がある。

このAIブラウザは使ってみないと何とも言えないが、使い勝手や広告の表示方法などに興味が湧く。まだ、日本では公開されないから待ち遠しい。

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