直島

by Shogo

倉敷からタクシー、電車、フェリーを乗り継いで直島に到着。時々雲が通り過ぎるために暗くなるが晴れている間の海の美しさは特別だった。

まず。最初にフェリーに乗る際にあまりの外国人観光客の多さに驚いた。乗っていたのは、ほとんど外国人観光客と言っても良いだろう

それから、予想と違っていたのはタクシーが全くあてにならないことだった。このために町営バスの利用で移動することになった。しかしながら本数が少ないために待ち時間が多く無駄な時間が多かった。以前来た家族はレンタカーだったので直島も含め豊島の移動も楽だったと聞いていたが、今回は短い時間だったので仕方がない。家族は豊島の素晴らしさを力説していたが、今回は時間の都合で行けなかった。

直島では、最も人気のある杉本博司ギャラリーと地中美術館をかなり前に予約していた。しかしながら広大な敷地の中をバスを使ったり歩いたりして移動するのは、旅の疲れが出ている友人にはちょっときつかったようで、今回の旅に直島を選んだのは失敗だっただろう。

杉本博司ギャラリーでは、彼の代表作の「建築」、「海景」、「ジオラマ」や「OPTICKS」などが展示されていた。残念なのはスペースの割には展示点数が少なくもう少し見たかったような気もする。

それでも「OPTICKS」については初めてだったので直島で見ることができてよかった。「OPTICKS」は、ニュートンが使ったのと同じようなプリズムを自作して撮影したと聞いているが、どのようにしてあの違う色をフィルムに写しとることができたのか不思議な気がする。完成した写真はまるでマーク・ロスコのように思われた。

「海景」や「劇場」は時間が写し取られていると言う様に以前から思っている。「海景」では人類誕生以前から同じように空と海があのように見えていたはずだと言うふうに杉本さんは書いていた。確かにその景色は、今も変わらず、そこにある、どこまでも続く水平線と、その上に広がる空は何億年と言う時間を意味している。また、「劇場」シリーズでは、映画1本分のシャッター時間で、その映画の時間が写っている。

直島では、「海景」は通常のプリントの展示そのものが少ないが、ガラスの塔や茶室が組み込まれた形での展示となっている。これについては個人的にはあまり好みではない。江の浦測候所のように、作品がある程度の数が並んでいるのを見たいものだ。そうすることで。それぞれの作品に写る海の波の表情や空の雰囲気を味わうことができる。

それでも、共通して、私たち生命の根源である海の普遍的な姿を捉えているように感じられる。波の音、潮の香り、肌に感じる湿気という様な感覚だ。

「海景」に比べて、建築のシリーズはある程度の点数があった。これも好きなシリーズなのである程度の点数を見ることができてよかった。特に光の教会の作品は今回初めてだったので行った甲斐があった。

建築の写真は、輪郭がぼやけ、細部が曖昧になることで、建築が持つ本来の物質性や機能性から解放され、より概念的な存在とすることが杉本さんの意図なのだろう。それは、記憶の中の風景のように、輪郭は曖昧ながらも、その本質的な印象だけが強く残る感覚に近い。

ギャラリーの入り口を入り階段を降りてすぐの「松林図」はスペースの関係からか全体を見ることが、その空間からは難しく、「建築」シリーズを展示している場所からガラス越しに「松林図」見ることを意図しているようだ。それが意図的なものなのかスペースの関係でそうなっているのかよくわからない

「松林図」は、日本の伝統的な水墨画のテーマを、写真で再解釈した作品だ。画面全体を覆う松の木々のシルエットは、墨の濃淡によって表現された水墨画のように、奥行きと空気感を感じさせる。これは等伯の「松林図」に対しての、杉本さんの回答で、等伯の作品は、霧を表す白いバックグラウンドに描かれているが、杉本さんの作品は、暗闇に沈んでいる。

地中美術館は、地下に埋設された美術館の建築そのものが作品だ。美術館内には、クロード・モネ、ジェームズ・タレル、ウォルター・デ・マリアなどの世界的なアーティストの作品が展示されている。しかしながら友人たちの体調の関係もあり足早での鑑賞となった。

直島は、自然とアートが融合した美しい島だ。やはりもう少し時間をかけてゆっくりと数日滞在して、のんびりとしながら、たくさんあるギャラリーや美術館を巡るのが良さそうだ。その意味では今回の友人たちの目的である日本を見ると言う旅の目的からは少し外れた選択だったようだ。個人的には楽しんだものの、彼らに対しては直島という選択は最善のものではなかったかもしれない。

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