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最新号のIMAに安部公房の写真が掲載されている。これが良くてしばらく見入ってしまった。安部公房と言えば大学時代のアイドルで、本は全部読んでいたし、安部公房スタジオの劇も全部見ていた。代表作というか有名な「砂の女」は映画の影響もあって日本海側の日本の印象があるが、多くの作品は無国籍な印象だ。これはあの時代の日本の作家に珍しいと感じていた。
安部公房スタジオと言えば最近、山口果林の告白本が出て愛人だったことを告白したが、これは当時から公然の秘密だった。ネットも無かった時代に一大学生が何故知っていた理由は忘れたが、私でも知っているくらいのことだったのだろう。
それはさておき、安部公房の写真だ。自分でも現像して引き伸ばしもやっていたらしいので、相当写真が好きだったのだろう。モノクロの写真は何枚かは作家の独自の視点が感じられるもので、今見ても古くはない。生きていれば村上春樹の前のノーベル賞の最有力候補だったが、ちょうど20年間に亡くなっている。海外の本屋で日本の作家の本を見ることがあるが、「Kobo Abe」という名前は海外でも短くて読みやすい。もちろんそんなこで海外の評価も高い訳ではないが、名前が短い方がいいのは事実だ。
また脱線したが、IMAの記事によればNikon SとコンタクッスRTSを使っていたということだ。この辺りにも作家のこだわりが感じられる。写真は、これも「箱男」からの連想だが地面から撮ったような印象があって視線の位置が低いような気がする。写真をもっと見てみたいものだが、どこかで発表されないのだろうか。
写真は、ロンドン北部のカムデン。