広告付き無料配信サービスの今後

by Shogo

ワールドカップが終わった。今回のABEMAのワールドカップ無料放送が今後、日本のテレビ視聴習慣に影響を与えるのか注目される。ABEMAにしても、高い放送権料を払って無料放送行ったからには、ある程度はABEMA のユーザーとして残って欲しいだろう。

スペイン戦では1,700万人が当日にアクセスしたと発表されている。そのうちの何人がワールドカップ後もABEMAにアクセスを続けるのだろうか。感覚的には、かなり高くなると想像できる。一ヶ月の間に何度もアクセスして、番組宣伝やラインアップも何度も見ているので、かなりの程度戻るはずだ。

無料の動画配信としてはABEMA以外にGyaO! とTVerがある。GyaO!は、2005年にサービスを開始した最も古い動画配信サービスで、映画や国内・海外ドラマ、アニメなど様々なコンテンツが見られる。媒体資料よれば、月間訪問者数は2,550UB。UBは、ユニーク・ブラウザ数で、特定のユーザを示す。ただし、1人で複数種類のブラウザを使っている場合には重複もあり得る。その数は少ないだろう。2,550万人はすでにマスメディアだ。

一方、TVerは民放テレビ局が運用していて、人気ドラマが見られるところが魅力だ。TVerの最近の発表によれば、2022年10月に過去最大となる月間2,000万ユーザーを記録し、2.5億回の再生を達成したと言う。

広告付き無料配信サービスは各社とも順調にアクセス数を伸ばしているようだ。媒体資料によれば、各社ともに地上波テレビ局が狙っている20歳から49歳の構成比が高い。

この無料の配信サービスの中で、今回のワールドカップをきっかけに視聴習慣のついた一定数が今後もABEMAにアクセスを続れば、通常のテレビ離れがさらに進む。

これに対して有料サービスしては、Amazon Prime Video、Netflix、 Hulu、 DAZN、 U-NEXT、Disney+などが市場を激しく争っている。Amazon PrimeVideoはAmazon プライム会員のおまけでついてくるので、圧倒的に利用者が多いが、それ以外は苦戦が続いている。日本では有料放送はあまり根付いてないために成長するにしても、もう少し時間がかかるであろう。

アメリカでは、特にパンデミック期間中にNetflixを中心に定額配信サービスが急速に普及し、多くのヒット番組は定額配信サービスから生まれた。しかし、2022年には、すでにピークを超えたことが明らかになってきた。調査によると、テレビ局や定額配信サービス会社が発注した脚本数は、2022年下半期で2021年に比べて24%の減少、2019年に比べると40%の減少ということだ。すでに新作コンテンツ数が大幅に減少しているようだ。感覚的にもNetflixを見ても見たい番組がない。Netflixも今年の初めに加入者が減少した際に、コンテンツ投資を抑えることを始めている。

しかし例外があり、Apple TV+とAmazon Prime Videoは今年も番組の購入数を増やしていると言う。こちらは、本業とは別のビジネスで、多少の赤字を出しても、本業でカバーする戦略がある。サイバーエージェントがゲームの儲けで、ABEMAのためにワールドカップの放送権を買ったのと同じことだ

そのアメリカでも、有料定額配信サービスが、広告付きの廉価プランを各社とも開始した。すでに数多くある、広告付き無料配信サービスとも競合し始めた・

今回のワールドカップの無料放送の結果として、日本でも無料配信サービスは、今後も着実に視聴者を増やしていく事は確実だと思われる。つまり、毎年少しずつ減少を続けているとは言え、まだまだ巨大なテレビ広告費の市場をインターネットが少しずつ侵食していくことになる、そこで民放各社のTVerがどこまでその中で戦っていけるのか。多分近い将来には、テレビ各局も、独自の無料配信サービスを始めなければいけない時代になると思われる。それは広告付き無料か有料かと聞かれれば、当然、広告付き無料サービスだ。

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