TikTokが、メジャーリーグサッカー(MLS)とスポンサー契約及びコンテンツ・番組制作契約を結んだと発表した。この契約は複数年にわたるもので、TikTokはMLSのオフィシャルパートナーとなる。MLSは、アメリカでのサッカー人気の高まりとともに、メディアやスポンサーとの契約が増えている。Appleと独占配信契約を結んだ以外にも、Ticketmaster、Audi、Adidas、Deltatreとの契約を発表している。
今回の契約でTikTok は、MLSの全試合でスタジアム内に広告が表示される。また、TikTok上では、MLSの試合やリーグに関するコンテンツ、試合ハイライトなどが提供されることとなり、TikTokにMLSのコンテンツが増えることとなる。さらに、TikTokとMLSは、Club Creator Networkと言うTikTokのコンテンツ・クリエイターとMLSを組み合わせて、MLSの舞台裏や選手とファンの交流、選手に関する映像などの新しいコンテンツも制作することになると言う。これらの映像は、新しくTikTok上にMLS HUBと言うMSの情報集めたトップページができ,そこに集約される。ファンは、MLS HUBで様々なコンテンツにアクセスできるとともに、ファンも投稿もできることになる。
TikTokにとっては、成長しているサッカーファンの若い世代に対するプロモーションとしても、コンテンツの充実と言う意味でも、今回のMLSとの契約はメリットが大きい。Tik Tokをすでにサッカーに以前より取り組んでおり、2021年にはMLSのポートランド・ティンバーズの袖スポンサーになっていた。
ただし驚いたのは、このタイミングでこのような契約が発表されたことだ。発表自体はMLSではなく、TikTokを行っている。それは、連邦政府のTikTokに対する姿勢の変化の最中だからだ。
トランプ政権からバイデン政権にかわり、バイデン政権下ではTikTokは大きな問題になっていないようにも思われた。しかし、この数ヶ月の間に政府の所有するスマホからは、TikTokを削除するように命令が出たり、多少風向きが変わってきていた。米中対立激化の影響なのか、先日の風船によるスパイ行為と考えられる事件の結果なのか、TikTokに対してより強硬な姿勢をアメリカ政府が見せ始めている。その結果としてバイデン政権でもトランプ政権が求めたように、TikTokのアメリカ事業をアメリカ企業に売却するか、そうでなければ、TikTokを全面的に禁止する装置をとると、TikTokに通告したそうだ。
そして、TikTokの親会社のByteDance社のチーフ・エグゼクティブが下院の委員会で証言するように求められている。ここでTikTokがアメリカ人に対するスパイ行為を行っているのか、あるいは、そのような直接的ではなくてもアメリカ国内のTikTokのデータが中国共産党に開示される可能性があるのかと言うような質問がされるのだろう。その結果、委員会の反応は現時点ではどこまで行うのかよくわからない。
昨年あった事件ではTikTokの従業員がTikTokアプリの位置情報などのユーザのデータを使って特定のジャーナリストを監視していたことが明らかになった。これについては、TikTokは個別の事象だとして、既にその従業員を解雇しているとして、火消しに行っている。しかし、この事件がバイデン政権のTikTokに対する対応の変化に影響している事は間違いない。司法省とFBIは引き続きこの件についてTikTokとByteDance社の操作を続けているようだ。