フランスでは、マクロン大統領が定年退職年齢の下限を62歳から64歳に引き上げる改革を行おうとしているために、抗議活動やストライキが行われている。現時点では大統領権限で法律を通すとみられているが最終的にはどうなるか分からないという。
この改革の理由としては、年金制度の赤字を防ぐということが第一の目的のようだ。これは日本でも同様だ。70歳までの雇用の義務化と、年金の受給開始を70歳まで引き上げると言う議論が始まっている
フランスや日本だけではなく、世界各国も公的年齢年金改革のために定年退職年齢の引き上げを進めている。オランダは、すでに66歳10ヶ月になっているし、アメリカは66歳4ヶ月、スペインも66歳4ヶ月、イギリスは66歳で、ドイツは65歳10ヶ月だ。これらの国は、フランスや日本よりも標準退職年齢と年金の受給開始年齢を引き上げている。
OECDの統計によれば、65歳以上の労働人口が多い国は、日本と韓国で、日本が全労働人口に対して13.6%、韓国が13%とOECD加盟国では圧倒的に高い比率となっている。続くのはアメリカで6.6%、メキシコが5.1%、カナダが4.7%、イギリスが3.8%、デンマークが3.1%、ポーランドが2.5%、そしてフランスが1.6%、スペインが1.3%。
フランスが低いのは定年退職と、公的年金の受給年齢が62歳だからだが、これが引き上げれることによって多少変わるだろう。
少し不思議なのは、イギリスとスペインで両国ともに標準的な定年年齢は65歳以上になっているのにかかわらず、労働時人口は少ないようだ。これは公的年金に頼らずに、自主的にリタイヤしている人が多いということなのかもしれない。
それにしても、65歳の労働人口が多い国が日本と韓国と言うのも面白い。東洋の、この2カ国が突出して高いと言うことには何か理由があるのだろう。
様々な理由が考えられる。貧しいから働かなければいけないと言うこともあるし、社会が老齢者を労働力として受け入れられる文化や習慣があると言う事かもしれないし、どちらの国も、平均寿命が長く長寿の国であるために、働く人が長く働き続けると言うこともあるのかもしれない。
高齢化・少子化の問題は、日本が直面している大きな問題だ。だが、先進国各国も程度の差はあるが、同じような問題がある。その状況の中で、公的年金の受給開始年齢を引き上げると言うのは共通した傾向である。
公的年金が早く受給されるに越した事はないが、それよりも大事なのは、社会が高齢者を受け入れる文化や制度が必要だ。働く・働かないかは、個人の選択の問題であって、国や社会がそれを妨げてはならないと思う。