台湾の蔡英文総統がアメリカを訪問して、カルフォルニアのロナルド、レーガン記念図書館でアメリカ下院のマッカーシー議長と会談した。これでさらに米中間の緊張が高まる。とは言え、マッカーシー議長は就任前に、議長就任後に台湾訪問を明言していた。ペロシ前議長に続いて、続けての下院議長の台湾訪問は、中国が大きな問題にすることをも予想されるために、あえて問題の少ないアメリカでの会談と言うことに落ち着いたのかもしれない。
米中関係の緊張は、様々な問題につながっている。TikTokのによる通信の安全性・秘密保持への恐れを理由に、アメリカの一部の政治家はTikTokのアメリカ企業への売却かそれとも禁止かを求めている。先日、親会社のByteDanceのCEOが、ワシントンの委員会に出席を要請された。だが、アメリカ側も、具体的な証拠や事実がないために結果的には何の成果も生んでいない。
アメリカでは、すでに政府が所有する端末からTikTokを排除する決定をしている。このTikTokの政府所有の端末からの排除については、今月オーストラリアも決定して直ちに実行された。すでに政府の端末からTikTokを排除する決定をしている国は、アメリカ、オーストラリア以外に、イギリス、フランス、スウェーデン、ニュージーランド、台湾となっている。
しかし政府所有端末からの排除だけでなく、TikTokそのものを禁止している国はインド、アフガニスタン、イラン、ヨルダンがある。インドは2019年に未成年にとって安全なコンテンツとしてはではないとして、一時的に禁止したが、2020年6月にインドにおける中国の影響力を抑制するために、TikTokを含む59の中国のアプリを全面的に禁止した。この動きに追随する国は今のところ無い。だが、アメリカでも政府所有端末だけではなく、民間の端末からも全面的に禁止すべきと言う意見を持つ政治家が多いようだ。
今回のオーストラリアの政府所有端末からのTikTokの排除で、「ファイブ・アイズ」と呼ばれるUK USA協定に参加する。英語圏5カ国、アメリカ、イギリス、カナダニュージーランド、オーストラリアが同様の決定をしたことになる。つまり、今回のオーストラリアの対応は、この機密情報共有の「ファイブ・アイズ」のメンバーとして対応を合わせたものとも考えられる。
今回のTikTok排除の動きは、5年前のHouwaiの排除の動きと同じだ。Houwaiは5G技術による基地局を含む通信機器のメーカとして、またスマホのメーカーとして確固とした地位を築いていたが、今や中国以外では存在しない会社に近くなった。この動きは止まりそうにもないため、TikTokの今後も不透明だ。動画中心になっているSNSの中で、今後もTikTokの人気は衰えることもないと思われるが、米中対立に巻き込まれてしまったようだ