今週あった会合で話題になったは、北朝鮮が軍事偵察衛星を打ち上げた話だ。笑い話として、Google Earthよりも画質が悪いと言うことをでバカにするような内容だった。しかしこれはバカにしてはいけない。仮にもミサイルという名前のロケット打ち上げを何度も成功させてきた国だ。国全体の経済力の弱さは別にして、ロケット開発にほとんどの資金をつぎ込んで成功させてきた。ロケットの打ち上げの点に関しては、日本より進んでいるといっても良い。
しかも、画質については、映像素子を含んだカメラなどの民生用の部品で十分に対応可能だ。もちろん、ロケットに積み込むためには重量の問題があり、適切なものを採用する必要があるが、分解して必要な部品だけ取り出せば良い。今後、北朝鮮の軍事偵察衛星のカメラの解像度はどんどん上がっていくであろう。
北朝鮮が多くの国から経済制裁の対象になっており、多くの部品や資材を簡単に輸入できるわけではない。それでも現在においても北朝鮮と貿易を行っている国は多い。しかも、民生用のカメラなどどこかの国に行って買って帰れば良いので、十分に部品を手に入れることができるであろう。
気になって、北朝鮮の貿易状況を調べていると、国連貿易データベースによれば、2020年は北朝鮮は合計10億ドル相当の貿易を行っている。これは、経済制裁のために大幅に落ち込んでいるようだ。貿易の相手国は、ほとんどが中国で、北朝鮮の輸入は中国からが2015年には85%を占めていた。2017年のやはり国連貿易データベースによれば、その割合は99%に達していると言う。つまりほとんどの国は、2017年には北朝鮮への輸出を停止しているとみられる。
その2017年のデータによれば、北朝鮮からの輸出に関しては、やはり中国が相手国で、そのシェアは約70%だ。一部のヨーロッパの国は北朝鮮から輸入をしているようだ。ポーランドは、1,000万ドル近くの鉄鋼、プラスチック製品、医薬品、電気機器等を輸入している。オランダもやはり800万ドル 程度の物品を北朝鮮から輸入し、その半分はニッケルとニッケル製品だ。それ以外のヨーロッパの国々も、北朝鮮と国交を持ち、何らかの形で貿易を行っているようだ。これはアフリカの諸国も同様で、北朝鮮と貿易を行っている。
国連貿易データベースを詳しく見ると2017年の北朝鮮の輸出の貿易相手国としては、中国が69.6%、ポーランドが5.2%、オランダは4.2%、ルクセンブルグが3.4%、モザンビークが3.1%、その他が14.6%と言うことだ。これが、現時点でどうなっているかのデータはないが、記述によれば大きく変わっていないと見られる。
日本に住んでいると北朝鮮のミサイルの脅威は日々感じることであり、北朝鮮への経済制裁が当たり前のように感じている。だが、遠く離れたヨーロッパでは、今でも、国交を継続し貿易を行っていることに少し残念な気がする。
中国は地政学的に言っても北朝鮮がそこに存在することに意味があると感じているので、支援する事はまだ理解できる。ヨーロッパ諸国はなぜ北朝鮮との関係を続けるのだろうか。北朝鮮からの輸入がわずかだとしても、そのわずかな対価の外貨が、ミサイル開発に投じられて、東アジアの脅威になっていることに許しがたいものを感じる。