女子FIFAワールドカップは、スペインがスウェーデンに勝って決勝に進出した。日本はスペインに快勝していたことを考えると、少し残念な気がする。
日本での放送は、日本代表が負けてしまったので、NHKが決勝のみを放送するだけで、準決勝や三決は放送されない。試合を見ようとするとFIFA+で見る以外に方法がない。
スポーツの中継は、今まではスポーツ団体が放送権をテレビなどのメディアに販売して、メディアが広告による無料放送か有料放送を行うのが一般的だった。しかし、ブロードバンド化が進み、この流れは変わりつつある。FIFA +は、FIFAにとっての収益事業と言うよりも、サッカー普及のメディアであるが、他のスポーツ団体は、直接視聴者にストリーミングサービスを行うことで、収益事業を開始している。その最新の事例はNFL +である。
NFL +
NFLは、ストリーミング動画配信サービス「NFL+」の内容を、2023年のシーズンから充実させて、月額料金の値上げを
発表して、視聴者との直接ビジネスを強化すると発表した。
NFLは、プレシーズンゲーム、レギュラーシーズンゲーム、「グッドモーニング・フットボール」、「NFLトータルアクセス」、「NFLゲームデイ・モーニング」、「NFLナウ」などのスタジオ番組、「ア・フットボール・ライフ」、「NFL360」、「アメリカズ・ゲームズ」などのシリーズをライブ配信しているが、これに2023年シーズンから「NFLネットワーク」と「NFLレッドゾーン」を追加する。
これに伴って、NFL +は、年額79.99ドルまたは月額14.99ドルとなり、従来の月額9.99ドルから50%値上げされる。また、RedZoneを含まない標準的なNFL+プランの料金は年額39.99ドルまたは月額6.99ドルで、40%の値上げとなる。
MLB.TV
MLB.TVは、MLBが運営するストリーミング配信サービスで、全試合のライブ配信、試合のアーカイブ、ハイライト、ドキュメンタリーなど、多彩なコンテンツを提供している。全チームが見られるパッケージは、年額69.99ドル、月額24.99ドル。テレビの放送権を守るために、居住地域内の試合はみることができない。
NBA League Pass
NBAの運営するサービス。居住地域外の全試合のライブ配信、過去の試合のアーカイブ、ハイライト、インタビュー、分析番組など、多岐にわたるコンテンツをみることができる。日本が楽天経由で申し込む。年間プラン13,200円、月額プラン2,970円。
直接ストリーミングの理由は3つが考えられる
収益最大化:
放送権はテレビ局や外部のメディアや配信サービスに売却されてきたが、スポーツ団体が直接配信を行えば、これらの中間マージンを削減し、収益を最大化することが可能になる。
ファンとの直接の関係構築
独自のプラットフォームを持つことで、ファンとの直接的な関係を構築することができ、ファンの要望やフィードバックをリアルタイムで収集し、サービスの改善が容易になる。結果として、スポーツの普及にもつながる。FIFA+はこれを目的としている。
配信内容のコントロール
従来の放送権契約では、放送局が試合の編集や放送内容をコントロールしていたが、直接ストリーミングを行うことで、リーグ自身がコンテンツの品質や編集を管理できる。