2030年のFIFAワールドカップの3大陸6開催都市決定で、2034年のサウジアラビアでの開催に大きく舵を切ったと思われるFIFAは、さらにダメ押しと思われる決定をした。
それは、2034年のワールドカップ開催への入札規則の改正だ。従来の規則では、立候補協会は少なくとも14の適切なスタジアムを提案しなければならず、そのうち少なくとも7つは既存のスタジアムでなければならない規則があった。これが立候補段階では、14のスタジアムの提案と少なくとも4つの既存スタジアムを提案をしなければならないと改められた。
FIFAはワールドカップの開催については、最低収容人数4万人のスタジアムが基準で、重要な試合については、6万人から8万人の収容人数を持つスタジアムを要求している。7つの既存スタジアムという要件については、ワールドカップの開催が地元に負のレガシーを残すことなく、環境にも配慮するために設けられている。しかしながら、今回これが4スタジアムに削減されたのは、サウジアラビアの立候補に対しての配慮と思われる。
サウジアラビアは2027年にアジアカップを開催する。この開催会場として4万人以上のスタジアムが4カ所含まれている。リヤドの2つのスタジアムは改修中で、ジッダとダンマームに4万人以上のスタジアムが新設される。今回の既存スタジアムの要件の削減は、明らかにサウジアラビアを念頭に置いて規則が変更されたものと思われる。
2030年のワールドカップの3大陸6開催都市の決定で、2034年については開催可能な大陸連盟を、アジアとオセアニアに限定した。過去に行われていた大陸ローテーションは、現在は運用されていない。現在のルールは、過去2大会においてワールドカップが開催された大陸連盟は開催できないというものだ。2026年は北中米カリブ海サッカー連盟で行われ、2030年は、ヨーロッパ・アフリカ・南米で開催されるために、2034年に立候補できる大陸連盟はアジアとオセアニアになっている。2030年の3大陸開催により、2022年にカタールで開かれたワールドカップ以来、2034年に、またアジアで開催される道を開いた。まるですべての決定が2034年のサウジアラビア開催につながっているようだ。
それはスポーツにおいて存在感を増すサウジアラビアの資金力をあてにしたことなのだろう。サウジアラビアのインベストメント・ファンドは、ゴルフツアーに参入して、ゴルフ界に大きな波紋を投げかけたことは記憶に新しい。サッカーにおいてはプレミアリーグのニューカッスルはサウジアラビアの所有するものとなっており、これ以外にもヨーロッパにおいて、クラブの買収に動いているようだ。自国のリーグでは、ロナウドやネイマールを高額の年俸で獲得して、自国のリーグにも力を入れている。
別のニュースではサウジアラビアは2034年のワールドカップ開催が実現した際には、ホテルや指定されたファンゾーンなどの指定されたエリアで、酒が飲める可能性が高いことを関係者の発言として紹介されている。
まるで、FIFAにとっては、すべての道がサウジアラビアに通じているようだ。