フェイク画像の時代

by Shogo

Google Pixel 8が発表された。ベゼルが1周同じサイズになり、スマートなデザインになっている。CPUもTensor3チップにアップグレードされパワーアップしているようだ。Pixel 6に比べると2倍以上の機械学習モデルを実行するスピードがあると言う。このパワーを生かして、Pixel 8はカメラの機能が大きく変わっている。Magic Editorと言われる機能が、以前より大幅に向上したようだ。不要なものを消したり足りないものを足したりはPhotoshopなどを使ってできるが、うまくできなかったり手間がかかる。しかしMagic Editorは、画像の改変や追加が簡単にできてしまう。iPhoneも画像を処理する機能が付いているが、光の当て方が変わる程度のことで、画像の中身を変える機能はない。

Magic Editorで驚くべきは、一括処理の機能だ。たくさんの枚数の仲間の集合写真を撮った場合に、中には目をつぶっていたり、顔をしかめている人がいることは多いはずだ。しかし、Magic Editorを使えばベストショットの顔を適切な形で、他の写真全てに適用することが可能のようだ。ただし、これを使うためには、まず写真をGoogleフォトにバックアップし、そこから作業を行う必要がある。つまりインターネットにアクセスできない状況では使えない。

Pixel 8のように画像生成AIツールが組み込まれたカメラはもはや写真機とは言えない。写真とは真を写すと書くように対象をそのままに2次元に再現するための機械だったはずだ。例えば以前は警察の証拠写真や現場写真は、改変が難しいフィルムカメラの写真でなければならなかった。

画像生成AIツールを組み込んだカメラが生み出すのは真ではなく、フェイクだ。そのようなカメラを持つことによって、Stable DiffusionやMidjourneyのように写真をベースにしているが、まったく新しい画像を作り出すことができる。写っている人や物が実際にそこにあったかどうかを常に疑わなければいけないと言う時代に突入した。そういう意味では、AIツールを組み込んだカメラはフェイク画像作成機と呼んだ方が良いかもしれない。

ネットで試写の写真を見ると、まだ完全ではなく不自然に見える点も多い。しかしながら、これは今後AIの学習が進んでいくにつれて解消していくものと思われる。Stable DiffusionやMidjourneyのような画像生成AIツールでも顔の表情や手の指は苦手で、不思議な画像が生成されることがある。だが、これも徐々に解消しつつある。GoogleのMagic Editorも同様で時間の問題なのだ。

このようなカメラが普及してくると、我々がソーシャルメディアで目にするような画像が本当にあったことなのか作られたものなのか、ますますわからなくなる。これが料理の画像なら良いが、政治的・社会的意味を持つような画像であれば、大きな問題となる。

スマートフォンと言うカメラを手に持つ人が爆発的に増えて、毎日撮られる写真の枚数は飛躍的に伸びている。これは良い事だったのだが、フェイク画像生成機を多くの人が持つとなるとまた違う。メディアやソーシャルメディアで見る画像がどの程度作られたのかを考えるような時代になった。まさにフェイク画像の時代だ。

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