Apple、利益が千億ドルに届かず

by Shogo

Appleは、第4四半期は売上が895億ドルと4期続いての減収となったことを発表した。この理由としては、パソコン市場の低迷と中国での需要の鈍化ということだ。中国では、アメリカがファーウェイのスマホを禁止してるように、政府職員はアメリカ製品の使用が禁止されていると言う。

第4四半期の利益は230億ドルで、年間合計は970億ドルとなった。昨年が998億ドルであったので、わずかな減少だ。昨年も今年も、あとわずかで1000億ドルには届いていない。歴史上年間利益が1000億ドルを超えたのは、ボーダホンとサウジアラムコだけである。ボーダホンが1000億ドルを超えたのはベライゾン・ワイヤレスの売却したためで例外的な出来事だったが、サウジアラムコは、2018年、2021年、2022年と1000億ドルのマイルストーンを3度超えている。

Appleは1000億ドルを超えなかったとは言え、iPhoneが発売される前の2006年のほぼ50倍の利益となっている。iPhoneの販売後の2010年には100億ドルを超え、2019年に200億ドルに達した。それを考えると1000億ドルを超えていないだけで、順調以上の成功を収めていることがよくわかる。

この利益の伸長は、iPhoneとサービスによってもたらされている。iPhoneは新モデルのリリースが例年と違い第4四半期になかったために2.8 %増の売り上げにとどまっている。しかし、厳しい市場環境のためにMacの売り上げが33.8%減少したことを考えれば、新モデル無しに、順調に伸びたとも言える。

しかし、なんといっても今のAppleを支えているのはサービス事業だ。第4四半期にも16%成長してApple全体の4分の1の売り上げを占めるようになっている。サービス部門はApp Store、広告、AppleCare、 iCloud、決済サービス、Apple TV+やAple Musicなどだ。既にサブスクリプションの数は10億を超えて、3年前からほぼ倍になっていると言う。

Appleの利益をが1000億ドルに届こうかと言うのは、このハードウェアとサービスを一体化して、iPhone経済圏と呼ばれるようなビジネスモデルを構築したからだ。

Appleはユーザフレンドリーでデザインに優れた製品を販売し、さらに使い勝手を良くするためのサービスを有料無料で提供している。かつては、様々なソフトウェアはハードウェアに追加で料金を支払って、購入することが一般的だったが、AppleはOSもアプリケーション・ソフトウェアも全て無料にした。Appleの製品を使い始めると、操作性や他の端末との連携も含めてスイッチングコストが高くなり、Appleの製品にロックインされてしまう。それにそれに有料無料のサービスが付加されることにより、そのロックインの効果はさらに高まる。

Appleの製品はそもそも高価格のため利益率が高く、それに付加的にサービスがもう販売できるから、さらに利益率が高くなる。もう一つは悪名高いApple税だ。App Storeの課金にはすべて30%の手数料を支払わなければいけないために、この売り上げが大きい。既に世界で20億台以上のiOSデバイスが使われており、このデバイスに対してアプリを供給したり、販売したりできるのはApp Storeに限られている。ここでの売り上げが非常に大きい。

何と言っても20億台のiOSデバイスと繋がっており。ユーザーはクレジットカードを登録して手間なくサービスやアプリを購入できるから、心理的にも手間的にも購入の障壁は低い。これが、売上を拡大できる秘密だろう。人は基本的に財布を開けることを嫌う。それが、iPhoneの1クリックで済むから罪悪感なく購入ができる。

洗練されたデザインと、高い品質のハードウェアにサービスを組み合わせたエコシステムを作り上げ、それをマーケティングとブランディングで浸透させているからこそ、このようなビジネスモデルが維持発展できるのであろう。とは言いつつも1980年代からAppleを使ってきている、ある意味、Apple信者の意見だから、バイアスがかかっている。

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