イーロン・マスクのGrok AIの概要が明らかになった。Grok の売りはユーモアを基本にして設計されており、ウイットに富んだ回答が期待できると言うことだ。これが、どのような回答で、どのように役に立つのかは解らない。クリエイティブな要素の強い、発想の飛躍を求められるようなタスクでは有効なのだろうか。
さらに、Xプラットフォームからのリアルタイムの情報を活用して、他のAIでは回答できないような,リアルタイムな状況に即した回答ができると言う。この点がXと言うリアルタイム性に優れたプラットフォームを持つ強みなのかもしれない。これは、ChatGPTが最近までのデータに対応してきたが、さすがにリアルタイム性はないので、強みとなるかもしれない。学術研究などより、より創作の分野で使われるのかもしれない。
Grok-1は、過去4ヶ月間に様々なデータを読み込んで学習をしてきていると言う。つまり、イーロン・マスクがAIの危険性を訴えていた時期より後で開発に入ったということだ。にもかかわらず、Grok-1にどのような安全対策が施されているかについては発表はない。今後説明がされるのかもしれないが、少なくとも現時点では全く情報はない。
ベータ版で公開されたGrok-1のプロトタイプのGrok-0は、330億のパラメーターでトレーニングされている。これは、700億のパラメーターのMetaのLLaMA2の半分以下ということだ。これが回答の品質にどの程度影響するのだろうか。参考になるのが、他のAIツールとの比較テストだ。中学数学の文章問題では、Grok-1は62.9%達成して、GTP-3.5やLLaMA2より勝ったが、Google BardのPaLM2やGTP-4を下回っている。また、ハンガリーの高等学校数学のテストでは59%の正答を出し、Claude2の55%を上回ったが、GPT-4の68%には及ばなかった。これらのデータからGrok-1はGTP- 3.5よりも、高い性能を持つが、GTP -4には及ばないということのようだ。Google Bardよりも下の可能性も高い。
現時点でGrok-1のベータ版は、米国内の限定した数のユーザが利用できる。近日中には、Xプレミアム+加入者が利用できるようになると言う。日本でのXプレミアム+の月額料金は1960円。Grok-1単体での利用はできないので、ChatGPT-4の20ドルとは単純には比べられないが、価格的にははるかに安い。Grok-1もイーロン・マスクのXの有料化のひとつの部品ということなのだろうか。