イーロンマスクのGrok AIについては、各メディアで今朝も大きな話題になっている。AIツール分野の争いは、クラウドコンピューティングの分野にも大きく影響を与えるだろう。膨大なコンピューティング・パワーを必要するからだ。今後クラウドコンピューティングの需要は飛躍的に存在することが考えられる。
実際に最近発表されたGoogle、 Amazon、 Microsoft 3社の設備投資の合計は7月から9月までの3ヶ月だけで420億ドルだそうだ。この数字は前四半期より10%増加と言う。たった3ヶ月で、6兆円超える金額だ。Google、 Amazon、 Microsoftのような巨大IT企業は、既に国家のレベルを超えているとも言えるので、四半期で6兆円と言うのは大きい金額では無いのかもしれない。
クラウドコンピューティングのシェアトップのAmazonウェブサービス(AWS)の四半期の利益は9億ドルを超えている。今後、生成するAIツール企業や生成AIツールを自らのサービスや事業に組み込む企業のコンピュータ利用やデータ管理にますます需要が高まることを織り込んでの投資なのだろう。クラウドコンピューティングを行っている企業の業績はますます向上しそうだ。
一時のメタバースとNFTのブームは消えてしまい、今や生成AIブームがやってきた。この分野のスタートアップ企業も続々と誕生していると言う。Alphabetの決算では、サンダー・ピチャイCEOは、生成AIスタートアップ企業の半数が、Googleクラウドの顧客になっていると発言している。
今やクラウドコンピューティング主役で、自らハードウェアを所有してビジネスを行う企業はあまりない。しかも生成AIの事業は強力なコンピューティングパワーを必要とする。だから、クラウドという選択一択なのだろう。実際にGoogleの決算発表ではクラウド分野での収益は前年比22%の成長率で、会社全体の成長率の2倍になっている。
このクラウドコンピューティングの分野はAmazon、 Microsoft、 Google 3社の寡占となっている。Amazonウェブサービスがトップの33%。 Microsoft Azureは22%、 Google Cloudが11%だ。市場の66%をこの3社で占めて、しかも現在の状況を考えれば、このシェアはますます拡大すると考えられる。
このような環境を考えると、四半期で3社合計の6兆円の投資は大きいものではない。単純に4倍すれば年間で24兆円だが、これも現在の市場環境を考えれば、それほど大きな投資とも言えないのだろう。
巨大IT企業と国を比べても仕方がないが、日本では1人に数万円を配ると言うような思考ゼロのばらまき政策が議論されている。実際に生活に困っている人も多くいるのだろうから、その人たちを救済することも必要と思われるが、国民全体に金をばらまくことに何の意味もない。税収の上ブレが数兆円あって、それを選挙目当てにばらまこうと言う話だから誰も国の将来を考えていないことが明らかだ。
何か国の成長のために投資をできないのだろうか。成長できる分野であれば何でも構わなくて、クラウドコンピューティングなくても構わないが、税収上ブレを国家戦略に投下すべきではないのだろうか。韓国は経済危機の後、エンターテイメント産業育成に大きく舵を切って、積極的な財政支援を行い、世界に通用するエンターテイメント産業を作り上げた。選挙目当てのバラマキを考えるのであれば、成長分野に投資することを考えて欲しいものだ。とは言え、数兆円では巨大IT企業の投資に比べれば微々たるものだ。それでも、もう少し日本の生きる道を考えた成長戦略があっても良いものだろう。