多くの企業がAI技術を広範囲に利用してきた。ChatGPTが話題になる前からだ。チャットボットという形で、AI技術が目の前に見るようになっただけで、それ以前にも裏側ではAI技術が動いていたのだ。
例えば、Amazonは、パーソナライズされたレコメンデーション(あなたにおすすめ)や、Alexaの音声認識や自然言語処理はAIによって制御されている。オペレーションの面でも倉庫の管理やロジスティックスはAI技術が支えている。Amazonの稼ぎ頭のAWSは、企業向けの生成AIサービス「Amazon Bedrock」行っており、最近は企業向けのチャットボットAmazon Qをを発表している。
Amazonは自社で独自のAI技術開発も行ってきたが、Claudeの開発元のAnthropicに対して40億ドルの投資をし、戦略的提携を結んだ。この関係は、OpenAIとWicrosoftの関係と同じだ。Anthropicは、AI技術開発においてOpenAIの最大のライバルと言われている。Anthropicは今後AWSの上で多くの業務を行い、AIチップの開発でも協業するそうだ。Anthropicの最新AI生成サービスのClaude2は、Amazon Bedrock上で稼働している。
様々な分野でAI技術を活用しているAmazonだが、収益を伸ばしている広告事業の分野でも、AI技術を使ったサービスが発表された。それは広告主が広告を作成する際に、AmazonのAI技術を使って広告の背景を自由に作り替えるサービスだ。
今年のAmazonの広告主イベント、unBoxedで発表された、この広告作成AIサービスは、現時点ではアメリカ国内だけのベータ版である。
Amazonのキャンペーン向けの画像生成とは、Amazon Adsに登録している広告主が、Amazon Ads Consoleで商品画像を選択し、生成ボタンをクリックするだけで、その商品に適した背景画像を生成できるサービスだ。
このサービスでは、商品の詳細に基づいてライフスタイルやブランドに関連する複数の画像を生成し、広告主が選択することができる。画像は、Amazonの広告やWebサイト、SNSなどで使用することができる。
広告主にとって、このサービスにはいくつかのメリットがある。
このツールは、広告主がAmazon Adsコンソールで製品を選択し、「生成」をクリックすることで、製品情報に基づいてライフスタイルやブランドテーマの画像を瞬時に生成する。画像は、短いテキストプロンプトを入力することで修正を重ねることができる。技術的な知識が不要で、最適な広告が作成できる。
まず、従来、キャンペーン向けの画像を制作するには、プロのカメラマンやデザイナーに依頼する必要がある。しかし、このサービスでは、広告主が、ブランドイメージに合った広告のための画像を生成することができるため、画像制作の手間やコストを省くことができる。
さらに、効果的な広告を効率的に作成することができることが特徴だ。商品の特性に基づいて画像を生成するため、効果的な広告を効率的に作成することができる。また、複数の画像から選択できるため、キャンペーンの目的やターゲットに合わせて最適な画像を選択することができる。
重要な点は、クリックスルー率の向上が期待できることだ。ユーザーの興味・関心を引くと思われる画像を生成して、広告が作成できる。広告主は複数のバージョンを素早く作成し、テストすることで、最もクリックスルー率の高い広告の制作が可能になる。
Amazonの広告ビジネスの売り上げは、2022年の決算報告によると、377億3900万ドル（約5兆2000億円）に達している。これは、前年比22％増の増収だった。
Amazonの広告ビジネスは、主に以下の3つの種類に分類される。
- 1. スポンサープロダクト 商品検索結果や商品詳細ページに表示される広告
- 2. スポンサーブランド ブランドロゴや商品画像、テキストなどを表示する広告
- 3. ディスプレイ広告 AmazonのWebサイトやアプリに表示される画像や動画の広告
これらの広告は、Amazonの膨大な顧客データや購買データを活用して、ユーザーの興味・関心に合ったターゲティングが可能だ。そのため、広告主は、より効果的な広告を展開することができる。
Amazonの広告ビジネスは、近年急成長を続けている。その理由としては、Amazonのユーザー数増加、Amazonの検索エンジンのシェア拡大、AmazonのAI技術の進化が挙げられる。Amazonの広告ビジネスは、今後もさらなる成長が見込まれる。今回の広告画像生成AIサービスにより、多くの広告主を呼び込める可能性がある。
