AI機能搭載PCが話題になっている。先週、台湾で行われたComputexでは、AI半導体はもちろん話題の中心だが、AI機能搭載PCについても注目が集まった。AI機能が、クラウドからクライアント端末に移されることでコスト削減を実現すると期待されている。どこまで実現できているかわからないが、MicrosoftやDELLはAI機能搭載と広告を始めた。
主要なテクノロジー系の調査会社は、2024年のAI PCの出荷台数を5,000万台程度と予測している。そして、IDCは、2027年のAI PCの出荷台数が、今のハードウェア対応AI PCの2倍になると発表している。これらのAI PCの多くは法人向けに販売されると予測されるそうだが、一般の消費者もPCゲームや高度な画像生成などに、AI PCを導入することも増えてゆくだろう。
AI PCとは?
AI PCとは、AIタスクをローカルで実行するために設計されたSoC(System-on-a-Chip)を搭載したPCと定義されている。IDCは、NPU(Neural Processing Unit)を搭載したAI PCを3つのタイプに分類している。
まず、ハードウェア対応AI PCは、40テラ演算/秒(TOPS)未満のNPUを搭載し、特定のAI機能をローカル・デバイアス内で実行できる。Qualcomm、AMD、Intelなどがこのタイプの半導体を出荷しているようだ。ちなみに、TOPSは、Tera Operations Per Secondの略で、1秒間に1兆回(テラ)の演算処理能力を表す単位。AI PCの性能を示す指標として、NPUの処理能力を測る際に使用される。
2番めは、次世代AI PCで、40~60 TOPSのNPUとAIを前提としたOSを搭載し、OSとアプリで広範なAI機能を実行できる。Nvideaを始めとして、AMD、Intel、Qualcommなどが2024年にこのタイプのチップを発売する予定だそうだ。
そして3番目は、高度なAI PCで、60 TOPSを超えるNPUを搭載する。現時点では、発表されていないが、今後登場すると予想される。
AI PCのメリット
AI PCは、AIワークロードをクラウドからクライアント端末に移行することで、以下の3つのメリットを提供するという。
まず、パフォーマンスが向上する。ネットワーク経由でクラウドにアクセスする必要がなくなり、処理速度が向上するからだ。そして、プライバシーとセキュリティが強化される。データをデバイス上に保持することで、情報漏洩のリスクがなくなる。さらに、コストも削減される。高価なクラウドリソースへのアクセスを制限することができるからだ。
今後数年間で、AI PCは新機能を次々と搭載し、PCの概念を根本から変える存在になっていくと予想されている。もうすぐビジネスユーザーにとって、AI PCは必須のツールとなるかもしれない。同時に、ゲームやコンテンツ制作の分野でもAIの力を活用することも当たり前になるだろう。今やAIがもたらす新しいPCの時代の入口に立っているのかもしれない。初めてPCを買ったのは、1980年だった。そのPCは、NEC-8001で今でも持っている(電源が入るかどうか確認していない)。それから44年。ついにPCもAIの時代になる。