今年になってClubhouseと言う音声ソーシャルメディアが急速に普及している。まだサービスを開始してから1年も経っていないが、新型コロナウィルス感染症による在宅時間の増加と関係があるのか、すごい人気だ。
短期間で200万人の利用者
各種のサービスの使用者数をまとめているStatistaのサイトによるとユーザ数は、2021年1月現在で200万人と言うことだ。アメリカではイーロン・マスクが登場したりして話題になっている。
日本で運用が開始されたのは、2021年1月23日なので、まだ2週間程度の時間しか経っていない。日本でも有名人が参加していることも話題を盛り上げている。ロンドンブーツ1号2号の田村淳、歌手のきゃりーぱみゅぱみゅ、「ZOZO」創業者の前澤友作氏、河野太郎行政改革担当相、国民民主党の玉木雄一郎代表、立憲民主党の蓮舫参院議員などだ。
Clubhouse人気の理由
人気の理由は、いくつか考えられる。1つは話題になったことが、話題になると言う流行の原則に従っていること。続いて、今までも、いくつかのサービスが招待制を取り入れてきたが、招待性による希少感が働いている。3番目は音声のみのソーシャルメディアであり、録音もできないし、会話を外部で漏らしてはいけないと言う秘密性による関心の喚起が考えられる。
コミュニケーションの歴史
コミュニケーションは、手紙で行われていたが、電話が発明されると、即時性を求めて、音声によるコミュニケーションが中心になった。それは、単純に文字を送る方法は郵便や電報だけで、時間がかかったから即時性の高い電話によるコミュニケーションが使われていた。
インターネットが普及して、電子メールが使えるようになると、音声から文字によるコミュニケーションに変わった。それは、メールやチャットによるコミュニケーションは、必ずしも相手のリアルタイムでの存在を要求しないからだ。好きな時間にメールを読めることで、コミュニケーションが成り立つ利便性が忙しい現代人には重要だったからだ。また、その後、チャットが登場して、文字をリアルタイムでやりとりをすることも可能になった。
電話を使った音声のコミュニケーションは徐々に廃れてインターネットを使った、文字によるコミュニケーションが中心になってきている。
そんな中で、音声のコミュニケーションの復活は、先に述べたように、文字入力の手間が省けると言うこともあるが、リアルタイムの生身の人間との会話の良さと言うことが評価されたと言う事だ。
さらに、音声の多人数の会話は、やろうと思えば様々なツールを使ってグループ通話をすることが可能だ。しかし、Clubhouseが提供しているのは、友人や知人だけではなく、様々な人が開いているルームに入っていけると言う魅力がある。
これは、今までのグループ通話が可能なツールとは違い、音声によるソーシャルメディアだから可能になったことだ。個人的には、敷居が高くて参加するつもりはないが、友人・知人ではない人が主催する自分の関心のあるテーマの会話を聞くと言う事は多くの人にとって興味深いことだろう。
Facebookのパクリの歴史
このような状況を受けて、Facebookは、Clubhouseに対抗する同様の音声によるコミュニケーション機能の開発を開始したと言うことだ。
Facebookは市場での流行に敏感で、写真共有が流行ると見るとInstagramを買収したし、メッセージングに着目をしてWhatsAppの買収を行った。またバーチャルリアリティーの可能性でがあると考えてOculusを買収している。
また、買収だけではなくてその機能をコピーすることも何度も行ってきた。Snapchatの24時間で消える動画共有が流行ると、InstagramやFacebookで同様の機能のストーリーズを追加したし、TikTokの音楽とビデオの組み合わせが人気になると、Instagramに同様の機能のReelsを追加した。
当然今回もClubhouseの流行で、音声によるクローズのコミュニケーションが流行っていると見ると、すぐに同様の機能を追加するのは今までの歴史から見て自明だ。
Clubhouseの今後は有料化?
今後、Clubhouseの流行がどこまで続くのかわからないが、この機能自体は情報発信したい人にとっては便利な機能だから、残ってゆくと思われる。多分、有料のサービスとして、お金や利用者を集めるのに便利だろう。やはり音声には、文字で行えないコミュニケーションが可能だ。その人の肉声の持つ意味と言うものが大きいからだ。