緊急事態宣言の中だが、人に会う用があり新宿に出かけた。帰りに西口の中古カメラとヨドバシカメラで久しぶりにカメラを見物して帰ってきた。
デジタルに関しては、興味がないので、どのようなラインナップが揃っているのか、ざっと見ただけだ。中古フイルムカメラに関して言うと、ついあれもこれもと見てしまう。ただ全般的に、価格は高くなってきているように感じる。フィルムの需要が減り、価格が上がっている一方で、中古フィルムカメラの価格が上昇すると言う事はどういうことだろう。
写真のフィルムの生産のピークは、2000年だ。それ以降は減少に転じ2013年以降は統計が発表されない。発表に足る数字ではなかったということだろう。
現時点の生産量わからないが、多分1000分の1とか万分の1、それ以上というような数量になっているはずだ。
カメラの生産台数では、2005年にデジタルカメラがフィルムカメラの生産台数を抜いている。だから2005年以降は、写真はデジタルの時代に移行したと言える。
すでにキャノンは2018年にフィルムカメラの販売を終了した。ニコンは、2020年11月に、最後まで販売を続けてきたNIKON F6の生産終了を発表した。今の店頭在庫がなくなると、中古でしか買えなくなる。
一方で、ライカはLeica M-AとLeica MPの販売を続けている。特に, Leica M-Aは、デジタル時代の2014年に新発売された。露出計や電子制御装置のついていない、完全にバッテリーの要らない機械式のカメラだ。これは1981年にLeica M4-Pが発売されて以来、33年ぶりの完全機械式のカメラだ。これを発売するライカは、フィルムの規格を決めたライカ版の提唱者としての誇りを持っているからだろう。
Leica MPは、TTL測光により露出を測って撮影できるようになっている。それ以外は、何の機能もない、機械式のカメラだ。このライカの2機種が販売終了になる時が、本当にフィルムカメラ時代の終わりだろうか。
いや、フィルムカメラは膨大な数が市場に出回っており、デジタルカメラと違って非常に単純な構造なので、修理も簡単にできることから、今後何世紀も使うことができる。だからフィルムカメラの時代が終わりになると言う事は当分ないと思う。
とは言え、フィルムの価格は上昇を続け、種類も限られている。ヨドバシカメラでフィルムの価格を見てみると、コダックのT-Max400の36枚撮りが1680円だった。以前は300円程度だったような気がするので、5倍に上がっているわけだ。
コダックのトライXも、まだ健在で価格が上がっているが、まだ売られている。コダック以外には、Ilfordは以前からあるラインナップが揃っていて、それ以外では富士フイルム、ローライのフィルムが売られていた。ヨドバシで売られているのは、その程度だが、海外から個人輸入すると言うことを考えると、まだまだフィルムの種類が多い。
日本の富士フイルムは、モノクロフィルムは、すでに1種類でNeopan100Acros IIだけとなり、他の感度のものは既に販売中止になっている。倒産したコダックに対して、フィルム事業から、医療や化粧品事業まで領域を拡大して生き残っている富士フィルムだから、ISO400は残してほしかった。多分、残さない判断ができるから、生き残っているのだろうが。
聞いた話によるとフィルムの製造は非常にローテクなので、今後も小さな工場で作り続けることができるらしい。研究開発費もかからないから、オペレーションは簡単だろう。だから、フィルムの製造は当分の間は続けられそうだ。ただし、どんどん趣味のものになっていくので、価格が上がり続けることが考えられる。世界に膨大にある中古フィルムカメラが生き続けるためには、誰かがフィルムを製造しなければいけないから、フィルムを作り続けてくれる会社がずっと存在することを望む。
中古フィルムカメラの価格が上がっている背景には、趣味性が高まり、程度の良い中古フィルムカメラは、希少価値があったり、デザインが良いものには骨董的な価値が出てきたからだと思われる。ただ、それもフィルムの販売が続く間はという限定的なものであると思う。