Googleは7月に広告の掲載基準を厳しくして、さらにペナルティを強化している。今回さらに、気候変動に疑問を呈するような内容の広告を禁止した。
7月には、コロナ禍で登場した魔法の薬や科学的に効果が証明されていない用具などの詐欺的な広告を禁止した。Googleによれば、タバコ、薬物、武器等と同様に、書類の偽造、ハッキング、スパイウェア、家庭内暴力につながるようなストーカーソフトウェアなどの詐欺的、犯罪的な広告は全て禁止としている。
そして、7月より広告主がこれに反するときのペナルティーを厳しくした。最初は、広告の排除と警告だけだが、90日以内にまた同様の違反を行った場合には、Googleの広告からは永久に追放される。
ここで言うGoogleの広告とは、YouTubeの広告、Googleの検索連動型広告いわゆるリスティング広告、それからGoogleが広告の配信を行っているGoogleデジタル・ネットワークに含まれる数多くのサイトの広告だ。Googleデジタル・ネットワークには、メディアなどの有力なサイトが多く含まれるために、ここからの追放は、広告できるところが限定されてしまう。
今回、Googleが禁止の対象に含めるのは、気候変動を否定するような内容の広告だ。Googleによれば、十分に科学的に検証された世界共通の合意や、気候変動の原因と矛盾するような内容の広告は受けて入れないと発表した。
これはGoogleの主義や世界観によるものではなく、多くの広告主やメディアは、そのような内容の広告と並んで掲載されたり自社のサイトに掲載されることを望んでいないからと言うことだ。
しかしGoogleのこの気候変動の要因についての広告を制限は難しい面もある。一般的には、気候変動は、温室効果ガスなどの排出へよるとされているが、そのメカニズムは完全に解明されているわけでもない。Googleによれば、この広告ポリシーに環境問題を含めることについては、世界的に認知されている環境保護団体と協議を行って決めたと言うことだ。
現時点の信じられている情報を元にして、それと矛盾する内容の広告を禁止するのは、ある意味、表現の自由を制限することにもつながる。Googleにとっては自らの広告ビジネスを守るために、そのような広告を排除したいと言う意図は理解できる。
ただ、もし今の広く信じられている温暖化のメカニズムに対する新しい考え方が登場したときに、それは、Google関連の広告では発表できないと言うことになると大きな問題が生じる。
「Google 八分」と言う言葉があるように、Googleに排除されると言う事は、ほぼインターネット上には情報が共有されないことになってしまうからだ。自らサイトを作って、その情報を発信しても、Googleを使わないと誰にも伝わらない。そして、伝わらないと、この世の中に存在しないと言うことにもなる。
決して個人的には、今の地球温暖化のメカニズムを否定する考えを持つものでもないが、科学的な常識と言うものは、その後の検証や新たな発見によりしばしば否定される可能性があり、一律に今の考え以外を排除する姿勢には疑問が残る。