大リーグの開幕日が、ようやく4月7日に決まった。大リーグ機構と選手会が交渉していた労働協約(CBA: collective bargaining agreement)がまとまったのだ。大リーグ選手会の役員会が、機構側が提示した、大きな変化を含んだ労働協約を、賛成26反対12で承認したと言うことだ。
最大の問題になっていた、the competitive-balance tax threshold、ぜいたく税と訳されていることが多いが、直訳すると競争均衡税基準が今後段階的に引き上げられていく。2021年には2億1000万ドルが、2022年に2億3000万ドルに引き上げられる。以降、段階的に引き上げられ、2026年には2億4400万ドルになる。選手の最低年俸は、現在の570,500ドルから70万ドルに引き上げられる。大リーグプレイ歴3年未満の最低年俸の若い選手の上が、成績によって与えられるボーナスのプールとして5,000万ドルが新たに設定された。これは、選手会側は、当初1億500万ドルを要求していたが、これについては、妥協したようだ。
この結果が、最低年俸の若い選手に、ある程度の賃上げを認める代わりに、チームオーナー側にぜいたく税を緩めて、選手獲得などの自由度を持たせることになったと言うことだと思う。
この労働協約の妥結によって、オープン戦は3月17日から開幕前日の4月6日でまで行われることになった。シーズンも162試合のフルシーズンで組まれることになった。この結果を受けて、広島から大リーグに移籍する鈴木聖也の交渉も進むだろう。
大リーグが、ストなどで、シーズンが短くなる事は普段ならあまり気にもしない。1994年から1995年の長期のストの際には、ワールドシリーズも中止になっている。この時は、ニューヨークにいて、大リーグの日本向け放送権の担当をしていたので、仕事に影響があった。だが、今はもう関係ない。
だから、大リーグのシーズンが短くなってもどうでも良い。しかし、今年に関しては、大谷翔平のフリーエージェントの時期に影響するので関心を持っていた。2022年のシーズンが通常通りに行われれば、大谷翔平はシーズン後にフリーエージェントになる。しかしこれが、ストのために短くなると、フリーエージェントになるのが1年遅れる。
大リーグのカレンダーの1年は187日で構成され、プレイヤーとしては172日が1年間プレイしたと言うことになる。この大リーグのカレンダーで3年間プレイすると、サラリーを交渉することができ、6年間プレイするとフリーエージェントの資格を得ることができる。大谷翔平の場合には、2022年末でフリーエージェントの資格を得ることになっていた。これがストが長引いて、大リーグのプレイヤーとしての172日を満たさないと言うことになると、大谷翔平にとってのフリーエージェントは遅れることになる。それを心配していたのだ。
4月7日に開幕することになり、通常の162試合のシーズンを行えることになってとりあえず一安心だ。
それにファンとしても、大谷翔平の活躍を長く見たいわけで、彼の活躍できる貴重な時間が少しでも短くなるのは、本人にとっても、ファンにとっても受け入れがたいものがある。ともかくよかった。