ABEMAがFIFAワールドカップ 全試合無料配信

by Shogo

1週間前の3月8日に、FIFAワールドカップ・カタール大会について、NHKが21試合、テレビ朝日とフジテレビがそれぞれ10試合を中継すると、各局が発表していた。その際から、「ABEMA」の発表が待たれていた。そして、昨日早朝5時に、情報が解禁になったようで、ABEMAが64試合全てを生中継すると一斉に報道された。その内容によると、ABEMAは、インターネット配信らしい機能をワールドカップ 放送に導入、スポーツ観戦に新しい楽しみ方が生まれるかもしれない。その内容は以下の通り。

毎試合の名場面をまとめたダイジェスト映像配信や、数台のカメラ映像から選べるマルチアングル映像、試合の途中でも最初から視聴できる追っかけ再生、声援を送りながら観戦できるコメント機能、リアルタイムで見られなかった人向けの見逃し配信も導入される予定。画質もライブ配信で最高峰とされるフルHDで配信される。

日刊スポーツ

テレビ3局の放送が41試合、インターネット配信が全試合という仕組みは、2002年日韓大会の際の、テレビ合計40試合で、衛星放送のスカパーが全試合放送とほぼ同じになっている。

FIFAワールカップの放送は、電通がFIFAから日本国内の放送権を取得した後で、日本の放送局がジャパンコンソーシアムを結成して、共同で電通から権利を購入して、その後、ジャパンコンソーシアムの参加放送局に負担金額に合わせた試合数が割り当てられる。その際に、くじ引きで試合が決定する仕組みになっている。多額に負担をする放送局には、事前に開幕、決勝戦、日本戦などが割り当てられている模様。今回でも、NHKは開幕、決勝戦の放送が決まっているが、多額の負担と試合内容の取り決めで、ジャパンコンソーシアムに参加していると思われる。

FIFAは歴史的には、放送権では儲けずに、世界各国の公共放送に安い金額で放送権を販売し、各国でテレビ露出を増やして、そこに映る広告看板の価値を高めるビジネスモデルをとっていた。そのモデルが変わったのは、1998年フランス大会後で、2002年日韓大会が、新しいビジネスモデルの最初の大会だった。

過去の報道によれば、1998年フランス大会の際の日本の放送権は5億円で、NHKが獲得している。そして、フランス大会後にFIFAがビジネスモデルを大きく転換して、2002年日韓大会の放送権料の値上げに踏み切った。これは、IOCがオリンピックの放送権を大きな収益源にしていることに倣ったと言われる。そして、FIFAとその放送代理店が日本の放送権に設定した金額は250億円と言われる。

この際には、最終的にはスカパーが参加して130億円負担、ジャパンコンソーシアム65億円の合計185億円で決着したと報道された。スカパーが、高騰した放送権料に対応できないジャパンコンソーシアムを救ったことになる。スカパーは、有料放送の市場開拓のために高価なワールドカップ 放送に踏み切ったわけだ。

今回の2022年カタール大会の放送権も同様の構図だ。テレビ広告費の縮小のために、日本テレビとTBSがジャパンコンソーシアムから撤退、NHKも予算見直しという状況を受けて、市場が拡大しているインターネット配信のABEMAに助けを求めたということになる。そこで、通常のテレビ放送とインターネット配信を切り分けて、ABEMAがインターネットでの全試合の配信権を得たことになる。これのために、ABEMAは、自らのサイトで、Official Internet Broadcasterの称号を使っている。

報道されている放送権料は、180億円から200億円だ。ジャパンコンソーシアムが40億円から50億円を負担すると、ABEMAの負担額は130億円から160億円の幅になる。これについては、今後新たな報道がされるであろう。

今年のワールドカップ は、全試合を無料配信するABEMAに敬意を示すとともに、新しいインターネットならではの機能を試すためにABEMAで観戦しようと思っている。

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