雨とジョン・ウエインとスーちゃん

by Shogo

今朝は朝から雨。金曜日に遅かった時のお約束でエルに早くから起こされる。散歩に出かけないのでデジカメで撮った画像をPCに移したりしていた。桜の写真がまだ何枚も残っていた。すでに桜も散って青葉の季節だ。

昨日のオフィスでの会話。天気予報にはなかった雨が降り始めたと来客から教えられて雨に含まれるかもしれない放射能の話に。子供の頃に雨に濡れると放射能が混じっているので気をつけろとは同年配の誰でも言われていたようだ。当時はアメリカ、フランス、中国、ソ連が大気中の核実験を繰り返していた。全面的に禁止になったのは、記憶ではたかだか30年少し前のような気がする。

そこで昨日の朝の家人との会話を思い出した。昨日の朝のテレビのニュースはキャンデーズのスーちゃんのガンによる死亡の話だった。家人曰く、死因にガンが増えているのは、食品添加物やストレスや他の要因もあるかもしれないが、大気中の核実験の結果、世界に放射性物質がばらまかれて世界中の国でガンに罹る率が少し上がったからではないかということ。因果関係を証明するのは難しいが、昔よりガンの罹患率が高まっているとすれば、それも可能性の一つかもしれない。

ここまで書いて調べたら、大気中の核実験を禁止する部分的核実験禁止条約に米英ソが調印し発行したのが1963年。しかし、中国とフランスは参加せず1970年代にも大気中の核実験は継続されていた。大気中の核実験が禁止されたのは70年代後半という記憶はそう大きくは違っていなかった。つまりキャンデーズの活動時期というのは、中国とフランスの大気中の核実験により放射能が増えていた時期でもある訳だ。だからと言ってスーちゃんのガンと関係があるかどうかは分からない。

大昔に読んだ本で、「ジョン・ウエインはなぜ死んだか」という広瀬隆さんの本がある。この本はジョン・ウエインのガンによる死亡と核実験の因果関係についてのものだった。アメリカがネヴァダで核実験を繰り返していた頃、ジョン・ウエインは近くの砂漠、ユタだったと記憶するが、彼の代表作になるいくつかの西部劇を撮影していて放射能に接触、後年ガンになったという推測が書かれたものだった。当時は放射性物質が、それほど有害ということは知られていなく、核実験の場所にも兵士を配置して、体にどのような影響があるか調べていたほどだから、近くの砂漠に退避命令は出ていないし、映画の撮影隊も核実験など気にもしていなかっただろう。スティーブ・マックイーンもガンで亡くなっているが、これの関係も疑われていた。

因果関係の証明は難しいから、政府の発表する「直ちに健康への影響はない」という発表になるのだが、仮に0.01%でもガンの罹患率が高まるなら1億人の母数に対してわずか(!)1万人だから日本全体では大したことはないと学者や政府は考えるのだろう。でも、それは私や私の子供やスーちゃんだったりするわけだ。官房長官は「直ちに健康への影響はない」と発表する度に実際にガンにかかって亡くなるかもしれない子供のことを考えないのだろうか。原発から数十キロの高濃度の放射性物質が観測された地域の住民のリスクをどう考えるのだろうか。

このリスクの問題には諸説あってどれが正しいか私は知らない。でも一つだけ言えるのはリスクがあるのであれば安全サイドに最大の配慮をすべきだろう。それが政府や私たちができる将来の日本人と将来の世界への責任だと考える。

今日は午後からかつての上司の家にミャンマーのシーノマドという人たちの写真を見せて貰いに行くのだ。シーノマドとは海の遊牧民ということなのだが写真が楽しみだ。この上司はリタイア後、たくさんの趣味を楽しんでいたのだが、このところかなり写真に入れ込んでアジア・アフリカの撮影旅行に出かけている。もう一人かつての同僚も誘ったので、写真どころではなく昼から酒盛り になることは確実な予感。いずれにせよ東京の放射性物質の観測値はそう高くないから雨の外出も問題ないだろう。

 広瀬隆の本は文春文庫に入っているようだ。

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