2022年FIFAワールドカップ・カタール大会での「三苫の1ミリ」を判断したホークアイ技術がNBAに採用されて2023 -2024シーズンから使われることになった。最初は審判の判断の材料として使われるだけだが、最終的にはテニスと同じように自動的にアウトオブバウンズなどを判定するように使われるようだ。
ソニーのホークアイ技術はサッカーやテニスで、多くの実績がある。特にテニスではすぐに判断が下されるためにスピーディーな試合の進行を助けている。NBAも、今回の採用にあたっては2019年からソニー・スポーツと共同でデータを蓄積してきて実用可能と言う判断になったので正式採用となったようだ。
このホークアイ技術の運用が順調に進み、様々な判断が自動的に行われるようになるとNBAの試合運営のスピードが増す。これは選手にとっても観客にとってもメディアにとっても良いことだ。そもそもNBAの良いところはスピード感だ。だが実際には試合時間の40分はファウルやフリースローのために時計が止まり、試合時間は結果的には長くなり2時間以上かかる試合も多い。ホークアイ技術の採用で少なくとも判定のスピードアップが上がれれば試合時間も短くなる。
この試合時間の長さが、今後のスポーツの課題だろう。ワールドベースボールクラシックでも1試合4時間前後かかっている。普通のエンターテイメントで4時間はありえない長さだ。これが野球の人気が、特にアメリカで低迷している原因の1つだ。この野球の試合時間の長さの解決は、審判の効率化ではなく、抜本的なルールの改正が必要である。
話を元に戻すと、ホークアイは、すでにテニスやサッカーで実績を積んで今回のNBAの採用で、競合の技術を抑えてデファクトに近づいた。ソニーは、FIFAのスポンサーになって、スポンサーとしての広告販促活動だけではなく、スポーツを自社のビジネス領域にしたところが凄いところだ。普通はスポンサー活動を行ってそれでおしまいだが、ソニーはそうではなかった。といっても、ホークアイ技術を自社開発したわけではなく、買収した技術だが、それと組み合わせてスポンサーと言う立場も使いながらテニスやサッカーの団体にでの採用まで行った。さらに、その技術と実績を使って、ボールの動きを映像化してコンテンツ制作までが視野に入っている。スポーツのビジネス化で一歩抜き出た感じだ。エレクトロニクスから始まって、コンテンツまで進んだソニー以外にはない。
パナソニックも、放送機材のビジネスでオリンピックを活用した例はあるが、新しい分野を生み出したわけではなく自社の機材の売り込みに活用しただけだ。新しい事業領域を見出したソニーの方が一枚上手と言える。
2022年のFIFAワールドカップで言えば、実際にはソニーのホークアイ技術だけではなく、ドイツの企業のボール内蔵チップによる判定も使われていたようなので、必ずしもホークアイ技術だけが活躍したわけではない。実際に「三苫の1ミリ」の最終的な判断も、ホークアイ技術とボール内蔵チップによる判定が両方使われて最終的な結果を出したようだ。今回のNBAのホークアイ技術も、最終的にはサッカーと同じようにボール内蔵チップのような技術も将来的には同時に使われるのかもしれない。
今朝も花粉が一段とひどくなった。一昨日の山登りと昨日の友人に勧められた写真展せいで外を長く歩いたせいかもしれない。今日は天気も悪そうなので屋内にいるつもりだ。