GEM Partnersが2022年の動画配信市場規模の推計を発表した。
この発表によると、2022年の定額動画配信サービスの市場規模は4508億円となり、2021年の3862億円から16.7%も成長した。コロナ禍で恩恵を受けた商品・サービスの1つは定額配信サービスだが、その収束が見えてきた2022年の段階でも成長は衰えていないようだ。
事業者別では、Netflixがトップで22.3%。2位のU-NEXTが12.6%であるために圧倒的に引き離しての首位と言える。3位に、Amazon Prime Video の11.8%。4位にDAZN 11.4% 、5位にDisney+の9.4% 、6位のHuluが6.8%となっており、それ以下にシェアの少ない事業者が並ぶ。
2位のU-NEXTが、2.3%のシェアを持つParaviとの統合が発表されているために、そのシェアは少し高まり、15%程度になる。それでも、Netflixとの差はまだ大きい。
この市場シェアは、契約者がサービス事業者に支払った金額がベースになっており、Amazon Prime Videoは単価が安いために、シェアが低くなっている。Amazon Prime Videoは契約者数で見たときには、また別の話となる。同じ事はDAZNにも言えて、11.4%のシェアだが、月額契約料が高いためにこのシェアになっているが、契約者数で見るとシェアは低いはずだ。
2021年と2022年を比べると、まず目につくのが、Disney+が2021年の6%のシェアから9.4%と急増したことが目につく。DAZNもシェアを伸ばしたが、これは値上げのためと思われる。Netflixは首位は変わらないものの、2021年の23.1%から2022年の22.3%とややシェアを落としている。とは言え、2019年にトップになり4年連続の首位だ。
このランキング見てみると、個人的にはNetflixに見るものがないと思っているが、世の中の多くの人にとっては重要なエンターテイメントのサービスとなっているようだ。あれだけのコンテンツが揃っていると、ロングテールの先の方で様々なニーズを拾っているのだろう。
Disney+が、急速に伸びているのは広告をよく見かけるから積極的なプロモーションが効いているのか、私のようにStar Warsのスピンオフの作品に惹かれて契約しているのは人が多いのか。この伸びが続くのか。いずれにせよ、アメリカで経営体制が変わったことで、2023年には少し状況が変わる可能性がある。
DAZNについては、Jリーグとの契約を見直して、2033年までの契約に変更された。これで安定的に国内のサッカーのファンは維持できるはずだ。だが、英プレミアリーグなどの海外サッカーの契約を落としたことにより、サッカーファンのDAZNと言うブランドイメージを大きく毀損した。日本のプロ野球とJリーグで、どこまで今後戦えるのか不透明な部分もある。
事業者ごとに様々な課題もあるのであろうが、動画配信サービスと言う市場そのものは、今後も成長が予想される。だが、競争も激しくなり、今回発表されたU-NEXTとParaviの統合のような形で、事業者の統合が進む可能性がある。現時点では、多くの事業者にとって先行投資ということだが、今後収益の精査が行われると、いつまでも赤字で良いということにはならないだろう。その意味で、ABEMAが注目だ。2022年にサッカーのFIFAワールドカップを配信したABEMAは2.5%のシェアにとどまっている。これは前年度と同じシェアだ。U-NEXTが、Paraviと統合したように、今後ABEMAを中心とした統合が起こるのではないかと予想している。
現在、我が家ではNetflix、 Amazon Prime Video Disney+の3事業者と契約をしている。Amazon Prime Videoは、アマゾンプライム会員としてのおまけでついてくるサービスだからこれを解約する事は無いのだが、それ以外の契約は見直したい。金銭面ももちろんだが、見る時間がない。
定額配信サービスは、今後も伸びる事は確実だ。市場理解としては、現時点で1つ以上のサービスの契約している人のシェアを調べたい。以前、有料放送の仕事をした時には、有料サービスを契約する人の数はあまりにも少なかった。またその当時は、地上波コンテンツが圧倒的に強く、競争力のある有力な有料コンテンツは映画以外にはなかった。その状況は変わりつつある。現時点でどの程度の人が、有料サービスの契約をしているのだろうか。
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