ChatGTPの話題が相変わらず続いている。このインパクトが大きくて、インターネット普及初期でも、インターネットは、これほど話題にはなっていなかった。これほど大きな話題になるのは、テクノロジーが私たちの生活を大きく変えると言うことを、インターネットの普及によって知ったからだと思われる。
多くの領域で、ChatGTPの導入や使い方について議論が起こっている。特に学生のレポートでの使用を認めないという学校も現れた。しかし、これは現実的には難しい。多分、取り締まるの難しいであろう。レベルの低いケースで、ChatGTPの回答をそのまま書き写したようなレポートであれば発見できるが、内容をよく理解した上で、自分の言葉で書き直せば発見することを不可能だ。しかしながら、このような使い方をするのであれば、調査を効率的に行うツールとしてChatGTPを使っていることになるので、むしろ積極的にChatGTPを使わせるべきだ。
ChatGTPは、検索に代わる新しいツールとなり得る。ただし、内容を理解して、間違いがないかどうかを判断するだけの知識も必要になる。それが前提で、このようなツールを使わせないと言うのは、ワープロが発明されているのに、手書きで書き続けろと言うことに等しい。
少し前からGoogle ChromeにChatGTPを機能拡張で組み込んで使っている。検索結果に、ChatGTPの回答も表示されるので、非常に効率が上がった。
また、大学のWindowsのPCでは、MicrosoftのブラウザのEdgeでBingも使い始めた。MicrosoftのEdgeは今までほぼ使ったことがなく、当然、検索エンジンのBingも使っていなかった。しかし今回ChatGTPが使えるようになったことで、WindowsのPCでは使い始めた。同じような人が増えたと思われる。
この状況に焦っているのはGoogleだ。特にSamsungが自社のAndroidスマホの検索エンジンにGoogleではなく、MicrosoftのBingを検討していると言うことが明らかになったことは、Googleにとって大きな出来事だったようだ。
Samsung のAndroidの端末から行われる検索はGoogleがデフォルトになっている。ここから30億ドルの売り上げが、検索連動型広告としてGoogleにもたらされる。これがMicrosoftの検索エンジンのBingに変わるのであれば、大変な出来事だ。
ChatGTPの話題と影響があまりにも大きいので、Googleも対策を急いでいるようだ。検索エンジンをAIの機能を使ってアップデートするようだ。そもそもAIの開発については、Google以前より進んでいた。LaMDA(Language Model for Dialogue Applications)などのモデルが開発済みであったが、公開してこなかった。ネット上の偽情報やヘイトスピーチなど学習して間違いを犯すことや問題を起こすことを恐れて、AIを実用化する事はなかったのだ。
しながら、Open AIがベンチャーの強みで多少のリスクがあってもChatGTPを公開したことによって状況が変わった。対抗してGoogleもBardと言われる。チャットボットを発表したが、その評価はやはり高くない。
GoogleはBardの開発を進めて、今の検索エンジンを完全に作り直すプロジェクトを進めているようだ。AIの研究のために、今までの研究部門を集約して、ロンドンにGoogle DeepMindを新設したという記事も出ていた。
しかしながら、チャットボットでは、広告を組み込めないために、新たな検索機能の前の過渡的な検索エンジンとして、今の検索エンジンにAIの機能を組み込む開発を進めているようだ。このプロジェクトはGoogle社内では、Magiと呼ばれているそうだ。
Magiは、学習機能を持ちの利用者にパーソナライズされた検索結果がもたらされるようになると言う。ユーザが検索をしている内容から、AIがユーザが求めている情報や目的を考えて、必要な情報を提供するような機能が加わる。さらにChatGTPのようにソフトウェアのコーディングに関する質問に答え、リクエストに答えて、コンピューターコードをかけるようになると言う。
そして、このMagiでは、検索結果の中に検索連動型広告も表示される計画だそうだ。Googleにとって検索ビジネスは事業の大きな部分をしめる。このため、チャットボットのように広告が一切表示されないと言うことになると、ビジネス的には大きな問題となる。
Googleは、20世紀の終わりに、それまでになかった画期的なロボット検索で登場して人気を集め、検索連動型広告により新たなビジネス築いてから20年以上だ。その検索連動型広告のビジネス2022年には1625億ドルの売上だ。Googleの事業の基盤と言って良い。MicrosoftとOpen AIのChatGTPはこの検索ビジネスに壊滅的な影響もたらす可能性がある。その始まりは、Samsungスマホのデフォルト検索エンジンの変更の可能性だ。
Magiのプロジェクトの開発が進んで、チャットボットと今の検索エンジンの中間のような検索エンジンが完成し、そこに検索連動型広告が表示されているというのが、現時点でのGoogleの目標だろう。
問題は、求めている検索結果を知りたいだけの多くのユーザにとって、チャットボットの方が使い勝手が良いと言うことになり、Googleではなく、多くの人がBingを使いたいがるようになることだ。今の調子で話題が広がり、チャットボットへのニーズが高まるとGoogleも急いでMagiを完成させるだろうから、年内には、BingかMagiかの大勢が判明するものと思われる。