Facebook、WhatsApp、Instagramを所有するMeta社は、2年前にメタバースへ事業の中心をシフトすることを決めた。それまでは、AIの開発にも熱心だったが、それも放棄してしまったようにみえていた。
しかし、2022年11月のOpenAIのCahatGPT公開により、AIツールのブームが来ると、メタバースへ事業の離陸がおくれていることもあり、AIツール分野で巻き返しを図っている。
7月に最新かつ最先端のAI技術コードのLLaMA 2オープンソースソフトウェアとして公開し、3000万回以上ダウンロードされている。また、マイクロソフト、グーグル、アマゾンのクラウド・サービス部門と協力し、この技術をホストしている。これが、AI分野での巻き返しの第一弾。
そして、さらにさらに第二弾としてAIツール分野でのサービスのインターフェイスとして、ジェーン・オースティン、トム・ブレイディ、Mr.ビースト、チャーリー・ダメリオ、スヌープ・ドッグ、パリス・ヒルトン、大坂なおみなど、多くの著名人をモデルにしたAIキャラクターを開発し、ユーザーとの会話を可能にした。これらの著名人はキャラクター化にあたっては非公表の謝礼が支払われている。これは、当然の取引であろう。非人間的なAIツールに顔や性格が与えられるんは良いアイディアだ。
これらのキャラクターは、Meta社が新たに発表したAI製品群で利用可能になる。Instagram、Messenger、WhatsApp 、Quest 3ヘッドセット、Ray-Ban Storiesスマートグラスなど、製品・サービスとして全体に統合される。これには、Bingを利用したチャットボットや、Instagramで利用可能なAI画像編集ツールも含まれる。
これにより、ユーザーは、WhatsApp 、Instagram、Messenger内でAI制作の写真やステッカー絵文字のリアクションを即座に作成できるようになる。しかし、これらの技術は、偽情報の拡散のリスクも孕んでいるためMeta社は、AIによって作成された画像には、それを示すアイコンを表示することで、このリスクを軽減するそうだ。これは、広告に広告と表示するように、今後必要な表示だろう。
新しいAI製品が広く受け入れられれば、ユーザーがメタ社のアプリで費やす時間が増え、多くの広告が表示され、広告収入も増加する。
Meta社は、この2年ほどはメタバースへの転換に重点を置いてきたため、生成AIを使用した製品の導入が遅れていた。しかし、巨大な規模と資金を活かし、新しいAI製品の開発と普及に力を入れているようだ。新しいAIキャラクターと製品は、メタバースとAIの未来を形作る重要な一歩となるのかもしれない。これにより、ユーザーは新しい形のコミュニケーションを経験する。しかし、偽情報の拡散リスクなど、新しい課題も生まれていることも現実だ。Meta社は、これらの課題を克服し、ユーザーに価値を提供し続けることができるのだろうか。