開催中のラグビーワールドカップなどは、まだ放送権は国別にテレビ局などに販売され、20世紀と同じ放送システムで運用されているが、ソーシャルメディアで多くの人に取り上げられ、21世紀型のスポーツ消費が誕生している。
このメディア環境の中でスポーツの国際化は、加速度的に進展している。ストリーミング配信やソーシャルメディアの普及により、世界中のファンが様々なスポーツコンテンツを消費できるようになった。例えば、FIFAはFIFA+を開始し、ワールドラグビーはRugby Passを買収し、直接配信を開始している。これも含めて、多くのスポーツイベントがオンラインで視聴可能となっている。
そして、アメリカの主要スポーツリーグも、海外開催を増加して国際市場への進出を積極的に進めている。NFLはロンドンやフランクフルトで試合を開催し、MLBは今年は東京は含まれないが、ドミニカ共和国やメキシコ、イギリス、韓国で試合を行う。NBAやNHLも同様に、世界各地での試合開催を増やしている。
この国際試合の増加は、アメリカの主要スポーツリーグによる、新しいファンやスポンサーを獲得し、収益を伸ばすための戦略だ。多くの場合、個々のチームが海外でマーケティングを行い、リーグ全体の国際的なプレゼンスを増している。特にNFLやMLBなどは、特定の国際市場にチームを割り当て、商業化の権利を与えている。
ストリーミングメディアの出現は、世界中のファンにオンライン観戦の機会を与え、リーグやチームに新たな収益源を提供している。MLBの試合は、209の国と地域で、16の言語で配信されている。NFLもDAZNとの契約を結び、NFL Game Pass Internationalを通じて、レギュラーシーズンの全試合を米国外の視聴者に提供を開始した。
これらのストリーミングサービスにより、各リーグやチームは、国際的なファンベースを構築し、メディアライツ、スポンサーシップ、チケットの売り上げ、グッズの売り上げから収益を上げることができる。これは、選手の年俸の増加など、キャッシュフロー問題に対処するために重要になりつつある。
このスポーツの国際化は、国際的な市場を持つ企業ブランドにとって、マーケティングの機会を提供している。例えば、NBAとミケロブ・ウルトラのグローバル・パートナーシップはその例だ。スポーツリーグやチームは。スポンサーシップを地理的に拡大することにより収益の機会を得ることが可能になってきている。
だから、リオネル・メッシのマイアミでの人気や、NHLのオーストラリアでの試合など、スポーツチームが国際的なマーケティングを行う機会が増えていくだろう。これにより、各リーグやチームは、新たな市場でのブランド価値を高め、国際的な才能を獲得することができるようになる。
スポーツの国際化は、ストリーミング配信やソーシャルメディアの普及、国際試合の増加、広告主とのグローバルパートナーシップの構築など、多くの要因によって推進されている。これにより、各スポーツリーグやチームは、新たな市場を開拓し、国際的なファンベースを構築し、収益を増加させることができる。スポーツ消費は、新たな成長の段階に入った。しかし、問題は強いのはアメリカのチームやリーグが他国のスポーツ市場を侵食するということも意味し、日本を含めた市場での各国のチームやリーグにとって、ファンを維持し拡大することに注力しなければいけないということも意味する。