ノルウェーの電気自動車販売

by Shogo

テスラの昨年の販売台数は936,000台だった。自動車業界全体の電気自動車の販売台数を調べたがまだ数値がまとまっていないようだ。調査会社カナリス(Canalys)がまとめた数字では2021年の上半期で電気自動車の販売台数は、前年同期比の160 %増の260万台だったようだ。単純に2倍にすれば520万台となる。電池自動車の販売が順調が伸びている状況考えると、単純に倍より売れている可能性が高いので、仮に600万台とすると、テスラのシェアは約16%となる。思ったより低い数字だ。先の調査では中国での販売台数が110万台なので、中国のメーカーがたくさん売っている可能性はある。110万台売れている中国は、世界トップの電気自動車市場だ。

だが台数ではトップでも販売シェアではトップではない。販売シェアでトップに立っているのはノルウェーだということだ。ノルウェーで昨年売れた車のうち、ガソリン車やディーゼル車は、たった8%しかないと言う。電気自動車が70%弱を占め、残りの20%強がハイブリッドと言うことだ。つまりノルウェーにはすでに2030年がやってきていると言うことになる。

これはノルウェー政府の政策で、電気自動車に補助金を出し、電気自動車の取得税や付加価値税を安くしていることで、電気自動車を安く買えるようにしていることが貢献している。ノルウェーの付加価値税は25%だから、これは大きい。さらに、公共駐車場や有料道路の料金を電気自動車に限っては安くする政策をとっているし、電気自動車は、バスやタクシー用のレーンを走ることができる。上記の政策に加えて、もともとノルウェーではガソリン税が高いと言うことも影響して、内燃機関自動車の販売がたったの8%という結果だ。

日本の電気自動車の販売台数は、これもまだ統計がまとまっていないが、日本自動車販売協会連合会の数字では2021年1月から9月の9ヶ月で、前年同期比47.7 %増の14,964台。これをもとに年間の数字を考えると20,000台程度だろうか。日本では1年に250万台程度の車が売れるので、電気自動車のシェアは1%にも満たない。

昨年11月に電気自動車購入の補助金の増額が閣議決定されている。補正予算が成立すると確定するが、これでも上限は80万年に過ぎない。多くの自治体が、これに加えた補助金をつけているため、場合によっては100万円程度以上の補助金を受け取ることができる。しかし、これで充分なのだろうか。現時点においては電気自動車は割高なために100万円程度の補助金では普及が進まない。それがシェア1%以下に表れている。

日本の経済における自動車産業の重要性を考えると、日本の自動車会社の競争力を高めるためにも、日本も同様の政策を取るべきではないのだろうか。ノルウェーのように、思い切った政策が必要だ。

政府としては財政健全化の重要性を考えつつも、コロナ対策の支出の増加と言う頭の痛い問題もあり、あれもこれもと対応できないのは事実である。しかし目先の対応ばかりしていけば、国の将来は無い。政治においても経営においても決めなければいけないのは優先順位である。それを決めるためには、長期の視点から導き出されたビジョンがなければいけない。韓国政府が行ったコンテンツ輸出増加に向けた政策と同様に、日本の国の形を考えたビジョンとメリハリをつけた政策が必要なのだろう。

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