もうしばらく前にロンドンに拠点を置く会社の仕事をしていた。その時は駐在ではなく、長期出張ベースで行ったり来たりとホテルや短期滞在アパートで暮らしていた。ホテルだと、キッチンがある訳でないので朝食に好きなものが食べられないので困った。ホテルは朝食がついているのだが内容は基本的には同じで1週間も食べていると完全に飽きてしまう。その点、短期アパートだとキッチンがあるので好きなものが食べられるが1週間程度の短期アパートだといろいろと面倒でホテルになる。どちらにせよ良い点、悪い点があるのだが、家にいるより快適ということもない。その年は揉め事多くてともかく疲れていた。
そんな頃の話で週末はやることもないので街中を写真を撮ったりして歩くことになるが、そんな頃にたいていのロンドンの観光地は行ってしまった。ノッテングヒルもそんな観光地だ。そもそもは週末に蚤の市があって中古のカメラも売っていると同僚から聞いたからだ。実際にカメラは売られていたがとても使えるようなものでない古いものかキヤノンやニコンの入門用の機種が多かった。
でも街の雰囲気も良いしレストランやパブもある。さらに滞在しているロンドンの中心部からもそう遠くないということもあり昼も夜も時々出かけた。最も夜は閉まっている店が多いので夕方に行って夜までいただけなのだが。
それで興味が出て東京に帰っている時に映画の「ノッテングヒルの恋人たち」を見返してみた。原題は「Notting Hill」で邦題は「ノッテングヒルの恋人たち」、1999年の製作だからずいぶん古い映画だ。要はロンドンでもおしゃれな場所ということなのだろう。映画を見ると見慣れた景色があちこちに登場する。ノッテングヒルだけではなくメイフェアのリッツ・ホテルなど他の地域も登場して面白い。それで次のロンドン滞在中に撮影場所を探してみた。物語の舞台の、ヒュー・グラントが経営している書店のモデルの店は実際は別の場所にあり、そこでたくさんの観光客が記念撮影をしていた。映画の設定の旅行の本専門店ということだからもしかすると映画の後でできた可能性もある。撮影でその書店として使われた店は、面影はあるもののまったく別の商売になっている。これは当然か、撮影に場所を貸しただけだから。それから、彼が住んでいてジュリア・ロバーツが泊まる自宅も青いドアで映画の姿のまままだあった。映画の聖地巡礼という言葉を知ったのは、ノッテングヒルめぐりの前だったか後だったか。
この地名のNottingが気になったことがあって調べたが分からなかった。ノッテングヒルのあたりはなだらかな丘になっているので、「結ぶ」のknotからkが落ちたのかしらとずっと思っている。
上の写真は、映画に出てくる旅行の本だけを扱う書店が撮影された店舗。下は、ヒューグラントが住んでいた自宅。玄関の上にパーティをやった屋上が見える。