朝日新聞にステマ規制の記事が出ていた。記事中に出てくる。有識者検討会は10月25日に開かれたもので、2ヶ月も経って記事になるのが不思議な感じがする。
広告であることを隠し、消費者の純粋な感想や口コミを装って宣伝する「ステルスマーケティング(ステマ)」の規制に消費者庁が乗り出す。広告だと認識できないようにする手法は消費者を誤認させ、合理的な商品選択を阻害する恐れがあると判断した。商品やサービスに関する不当表示を規制する景品表示法に基づく告示で来年度、禁止行為に加える方針だ
朝日新聞デジタル版 2022年12月24日
ステマは、広告と違い、その情報の発信者である広告主を明示せずに、第三者の発信する客観的な情報と偽装して発信されるために、悪質なマーケティング活動である。広告の定義には、いくつかの項目があるが、広告主が明示される事が最も重要な項目である。消費者は、その広告主からの情報を広告として理解するからこそ、全てを鵜呑みにする事は無い。しかし、ステマのように、第三者が推薦する形をとると強力な説得の力を発揮する。
特にインターネットが普及して、個人の情報発信が簡単になったことで、善意の第三者を装って、広告主のためにブログの記事を書いたり、SNSに投稿したりすることが増えた。ステマは、以前よりよく使われていたプロモーションの手法である。インターネットの普及により、それがより広範囲に広がり、悪質化したものと言える。
消費者庁がステマの規制に乗り出すのは良いことだ。10月に開かれた検討会では、現行の景表法の優良誤認表示と有利誤認表示に加えて、新たにステマに対応する規制を導入することを方針が決まった。有識者会議が提言を近日中にまとめ、消費者庁は提言を踏まえて、具体的な制度設計に着手すると報じられている。
公表されている第5回ステルスマーケティングに関する検討会の資料には、ステマに対応する景表法の適用対象として以下のように表現されている。
「広告主の表示であるにもかかわらず、第三者の表示であると一般消費者に誤認させる表示」
第5回ステルスマーケティングに関する検討会資料
これがスステマの景表法での定義になる。先に述べたようにインターネットにおいては、ステマが横行している。特に成果報酬型広告と言われるアフィリエイトでは、全てではないにせよ、ステマと思われるような情報がよく見られる。
情報リテラシーの低い人が、これで購入させられることを防ぐためにも、景表法でステマを規制対象にすることは良いことだ。検討会の資料でも、EUやアメリカでは罰則を伴う具体的な法制度が施行されていることが紹介されている。日本も消費者保護のために法制化が望まれてきた。
しかしながら、問題は実効性にあるかもしれない。実際に消費者庁が現行の景表法に基づいて処置命令を出すのは、多くても、月に4、5件しかない。通報などによって消費者庁が認識した事案から、悪質と考えられる事案に対して措置命令が出されているものと思われる。それを考えると、ステマが、景表法の規制対象になったところで無数にあるステマに対してどれほどの実効性があるのか疑問は残る。
それでも、規制ができることで多少なりとも自主規制が働けばそれはそれで望ましい。