2022年もあと3日。新型コロナウィルス感染症は、落ち着いてはいるが、まだまだ感染や死亡者が続いている。これには終わりが来ないので、早いうちにwithコロナの時代に慣れたほうがよさそうだ。
2022年は2月のロシアによるウクライナ侵略やそれに伴うエネルギー危機、インフレが始まった。これは、まだ終わりが見えない。また安倍元首相暗殺に代表されるような凶悪事件の増加など、よくないニュースが続いた。30年に及ぶ景気の低迷で、未来に向けてもあまり良い展望も持てない。この感覚は、多くの人に共有されているようだよ
フランスの調査会社のイプソスが行っている翌年についてどう思うかと言う調査によると、日本は調査対象32カ国中、最低の36%が2023年に対して楽観的な考えを持っているそうだ。この数字は、 2021年に行われた同じ調査から18%も低下している。日本の未来の姿に対して悲観的な見方が広がっていることがうかがえる。
この調査では、楽観的な人の割合の世界平均は65%だ。世界では多くの人が2023年は2022年より良くなると楽観的に感じている。この数字を比べてみても、日本の悲観的な感覚の強さがよくわかる
日本財団も同様の調査を行っており、この結果も同じような数字になっている。日本財団の調査は、日本、アメリカ、イギリス、中国、韓国、インドの6カ国の17歳から19歳の6000人を対象に、自分の国の将来について尋ねる調査を行っている。
この調査で、日本の若者で、日本が将来良くなると答えた人の割合は13.9%で、悪くなると答えた人の割合が35.1%だった。悪くなると答えた人の割合は、調査対象6カ国で最も多かった。反対に中国の若者は95.7%が、中国が将来良くなると期待しており、悪くなると答えた人はわずか1.2%だった。
この違いはどこから来るのか。やはり経済の低迷による将来の生活についての不安が大きいものと思われる。目先のインフレや円高といった問題もあるが、それよりも国としての成長戦略がないとことが理由ではないだろうか。アベノミクスでは第三の矢としての成長戦略が掲げられていたが、具体的な政策は示されず、実行もされていない。ここに、日本の未来についての悲観的な見方が広がる原因がある。
日本は一次産品の輸出から、急速に工業化を行い、電気製品・自動車といった工業製品の輸出で発展してきた。よく言われるように、その工業化には、イギリスやアメリカと言うモデルがあり、それに近づくための努力が行われた。昭和の時代に驚異的に成功した理由は、日本人の勤勉や能力もあるが、世界経済の成長という僥倖もあった。しかし、一度、その工業化が達成されると、その先に目指す道はなくなった。
坂の上の雲を目指して登った道は、すでに山頂を過ぎて降り始めている。ここから次の山を目指す方向を示せる人が出てくるのか、あるいは別の山ではなく、海を目指して、そこで新しいことを始めようと言うのか。どちらにせよ、どこかを目指すリーダーがいない。現在行われている事は、すでに下り始めた山道を、できるだけ前に進まずに、今の高度を維持しようとする努力だけだ。だから、空回りして、ずるずると山道を滑り落ちているように思える。
今までのことは忘れて、まだ余力があるうちに、どこかに出発しなければいけない。そのためには、今までの構造を一旦は破壊しなければならない。そうでなければ、次の時代は生まれない。
今のままでは、2023年どころか、ずっと悲観的な気持ちになる。日本人は、一般的に悲観的なのは事実。だが、なんの改革もされないから、余計に悲観的になる。
若い世代が挑戦できるような制度や経済的支援の政策が必要だ。いかに天才的なベンチャー企業が現れて、全てが成功するわけではない。それを支援する政策が必要だ。敗戦後にホンダやソニーが現れたように、情報科時代の企業を育成しなければならない。古い構造、制度や会社を潰しても、そのような若い世代のために新たな成長の道を拓くべきだ。
来年こそ、この悪循環が絶たれる良い年になってほしいものだ。