世界の音楽市場は9%成長

by Shogo

国際音楽著作権協会(IFPI)が「Global Music Report 2023 – State of Industry」を発表した。この資料によると、世界の音楽産業市場の規模は262億ドルで、前年比9%の成長した。これはこの8年連続の市場拡大となる。

この成長の多くは有料ストリーミングサービスによってもたらされている。市場の48%にあたる127億ドルが有料ストリーミングサービスで、前年比10.3%の成長だった。SpotifyやApple Musicなどの有料ストリーミングサービスの契約者数も6,600万人増えて、5億8,900万人に達した。

さらに、Spotifyの広告付き無料会員などの無料のストリーミングサービスも含めると、ストリーミングサービス全体の売り上げは、前年比11.5増の175億ドルとなっている。シェアは、なんと67%だ。

過去の数字を見てみると、2010年に有料ストリーミングサービスの利用者はわずか800万人だったことを考えると、この成長には驚かされる。

2022年は、他のカテゴリーも成長しており、CDやレコードなどのパッケージも4%の増加となった。市場規模は46億ドルで、音楽市場全体の中に占めるシェアは17.5%だ。

音楽のデジタル化の当初の中心フォーマットであったダウンロードは減少を続け、現時点では市場全体の3.6%に過ぎない。デジタルで所有するということの意味はないということなのだろう。なぜなら、ストリーミングでいつでも聴けるなら同じだ。いずれ消えてゆくカテゴリーだ。

演奏権収入は、パンデミック収束のために、以前に戻り前年比22.3 %の増加をみた。25億ドルで、市場全体をシェアとしては9.4%を占めている。これは、さらに伸びてゆくことが予想される。

ソーシャルメディアなどのインターネットでの利用も増えていることから、メディアでの音楽使用のシンクロナイズレーションも好調で20%を超える成長を遂げ、9.4億ドルに達した。これは市場全体の2.4%のシェア。このカテゴリーも今後の成長が期待される。

少し驚かされたのは、レコードやCDの物理的なパッケージのカテゴリーが、再び成長始めたことだ。成長率は4%で売上は46億ドル、シェアは17.5%だ。確かにテイラー・スウィフトなどのビッグアーティストはビニール・レコードやCDのアルバムも同時発売するなど、パッケージへの注目が集まっているためにこのような結果になっているものと思われる。日本は異常にパッケージの人気が根強く、17.5%よりはるかに高いシェアだが、両者のこの数字は近づいてゆくのだろうか。

個人的にはもはやパッケージから、レコードやCDを取り出して聞く気にはなれない。手元のスマホですぐに音源を変えられるストリーミングの便利さに慣れると後戻りができないものだ。

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