インフレ経済下での生活

by Shogo

長い間、インフレとは無縁に生きてきた。インフレ目標という言葉はあっても、インフレは関係ないと思っていた。それが、インフレの時代がやってきた。様々な物品の値上げのニュースをよく見かけるようになった。

OECD が世界の2023年5月時点のインフレ率を発表している。アルゼンチンの114.2%やトルコの19.6%など高い国も見られるが、多くの国は10%未満の範囲に収まっている。G7だけでみると、インフレ率はイギリスが7.9%と最も高い。イギリスは、すでに長く続くインフレ率の高さゆえに、今年1月にIMFは2023年の経済成長をマイナス0.6% として、G7の中では唯一マイナス成長の国と見込んでいる。

G7でイギリスに次いで、高いのはイタリアの7.6%で、ドイツの6.1%、フランスの5.1%、アメリカの4.0%、カナダの3.4%と続く。日本は3.2%でG7中では最低のインフレ率となる。各国とも食料品のインフレ率が高くなっている。日本のインフレは低いとはいえ、長い間のインフレ目標の2%を遥かに上回ってしまった。

パンデミックによって引き起こされた混乱やウクライナ侵略による食糧問題・エネルギー問題が、引き続き世界経済に大きな影響を与えているようだ。高いインフレ率に悩むイングランド銀行は、何度も金利を引き上げ、インフレに対処してきているが、一向に効果がないようだ。インフレは、経済政策では対応できないのだろうと素人としては思う。

アメリカは、日本と同じようにインフレ率を長期的に平均2%に保つ政策をとっているが、多少落ち着いたとは言え、まだ4%だ。このために金融緩和策を続けている日本と対照的にさらに金利の引き上げを行うのだろうか。それとも、当面は様子見なのだろうか。今は円安から円高傾向にあるが、もし金利が再び上がれば、為替レートにどのような影響与えるのだろうか。

G7以外の国の中で、中国は、5月のインフレ率0.2%で、その後0%まで落ち込む可能性もあるとみられているし、インドはインフレ率が下落して25ヶ月ぶりの4.2%と言う低水準となっている。両国については、パンデミックからの回復が遅れているのか、デフレに向かう可能性もあると言う。この両国は、ロシアとの関係からエネルギー危機を経験しなかったということも関係あるのだろうか。

日本は過去30年以上にわたりデフレ経済に慣れてきている。それが一転してのインフレだ。G7の中では低いとはいえ、多くの日本人が過去経験したことにない3.4%のインフレだ。

今までは、現金・預金の価値は基本的に変わらないと考えてきているが、毎年数%のインフレが今後続くと言うことになると、現在の預金金利を考えても現金・預金の価値は長期的には大きく下落することになる。このような状況で、私を含めて多くの日本人は、現金・預金の価値は常に同じと言う固定観念から脱却できるのだろうか。現物資産への投資と言っても、不動産の価値は長期的にはリスクが高い。とは言え株や債券についてはまったく分からない。多くの日本人にとって、インフレ経済下での投資は全く経験がないために、不安ばかりという状況だ。考えてみれば、デフレの経済停滞と言う名の、金のことを一切考えなくても良かった、ある意味では底辺で安定した平和な時代を生きてきたのかもしれない。

You may also like

Leave a Comment

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

error: Content is protected !!