Starlinkの携帯電話サービス

by Shogo

SpaceXの 衛星インターネットサービス、Starlinkは実用化しており、申し込めば誰でも使える。しかし、想像力が無いので、これが携帯電話サービスにも使えると、想像もしていなかった。

2024年1月2日にSpaceXがカリフォルニアのヴァンデンバーグ空軍基地からファルコン9ロケットでStarlink衛星21基を打ち上げた。そのうち6基が直接携帯電話と通信できる機能を搭載しているそうだ。これらの衛星は宇宙の基地局のような働きをし、既存の携帯電話と直接通信できるようになっている。このサービスは、通常の4G LTE互換携帯電話に接続でき、追加の機器は必要ないという。これにより、陸上の基地局の電波が届かない地域でも、携帯電話やモバイル端末を使った通信が可能になる。もはや海や山で携帯電話の電波が届かないということはなくなる。

このStarlinkの携帯電話サービスには、パートナーとしてT-Mobile(アメリカ)、Rogers(カナダ)、KDDI(日本)、Optus(オーストラリア)など、複数のキャリアが協力しているようだ。

Starlinkのサービスにより、従来の携帯電話ネットワークのカバレッジが及ばない遠隔地やリモート地域においても携帯電話を使用できること以外にも、多くの利便がもたらされる。まず緊急時の通信手段としての活用できることだ。天災や災害時には地上の通信インフラが機能しないことがありえる。Starlinkのような衛星ベースのシステムは、そうした状況下での重要な通信手段となるだろう。

そして、Starlinkのサービスが 新たな競争を生み出し、市場の変化を誘発する。従来の携帯電話会社やインターネットサービスプロバイダーは、新たな競争に晒される。これにより、料金体系、サービスの質、カスタマーサービスなどにおいて、市場全体の改善が起こる。どこでも使えるStarlinkの携帯電話に対して、既存のキャリアは料金やサービスの見直しを迫られるだろう。

また、通信コストの削減が見込まれる。未開地・遠隔地での通信インフラの整備には基地局設置など高額なコストがかかる。衛星を利用した通信サービスは、これらのコストを大幅に削減することが可能だ。既存の施設の統廃合を含めて、維持運用の費用が大幅に削減されることが予想される。

そして、個人的には最も重要と思うのが IoT(モノのインターネット)とのシナジーだ。IoTデバイスの普及により、より広範囲で安定した通信網が必要になっている。衛星通信は、これらのデバイスを地球上のどこからでも接続できるようにすることで、IoTのさらなる発展を支える。ロボット・ドローンを含めて、利用範囲が広がるだろう。

最後にあげるが、重要でないという意味では無いのは、地球におけるデジタル格差の解消だ。コストのために通信インフラが未発達な地域の人々にも高品質な通信サービスが提供されることで、デジタル格差の解消に貢献する。だれでも、インターネットに接続して文化的にも経済的にも社会の発展に貢献する。これが、多くの企業にとって新たな市場が誕生することを意味する。

ここで、疑問に思うのは、イーロン・マスクが各国の通信パートナーを必要としているのかということだ。彼のような人物は既存の秩序の破壊に躊躇しない。なぜ、既存の事業者と提携しないで自ら衛星携帯電話サービスを行わないのかということだ。実際にStalinkのインターネットサービスは、そのように行っている。だが、これには、いくつかの理由があるようだ。

まず、規制と許可の問題だ。世界各国には独自の通信規制があり、新たな通信サービスを提供するためには、それぞれの国の規制に準拠する必要がある。既存の通信事業者との提携により、これらの法的・規制上の障壁を簡単に乗り越えることができることが重要なようだ。

それから、既存の顧客基盤の活用だ。既存の通信事業者は、すでに大規模な顧客基盤を持っている。これらの顧客基盤を活用することで、Starlinkはより早く活用が進むからだろう。Starlink単独で行うことは、膨大なマーケティングコストを必要とする。すでに、携帯電話サービスが、これほど普及している現状では、その既存携帯電話サービス事業者と戦うのは賢明でないということだろう。

そして、既存のネットワーク統合も必要ということだ。携帯電話サービスは、地上の通信塔と衛星通信の両方を統合することで、より安定したカバレッジとサービス品質を提供することが可能になる。衛星だけですべてのエリアやビルの影をカバーすることは難しく、単独で携帯電話やモバイル端末をカバーするのは難しいだろう。当然、それらの地上の基地局の構築と維持には莫大な投資が必要だ。それなら既存の事業者と組んだほうが早いということだ。既存の事業者との提携は、資金調達や施設の共有を通じて、この負担を軽減することができる。

もし、既存の携帯電話サービス事業者と提携しない場合、Starlinkは単独でこれらの課題をすべて行う必要がある。しかし、それはイーロン・マスクといえども、時間と資源の面で非常に困難で、市場への浸透やサービスの品質に影響を与える可能性があるからだろう。簡単な解決が、既存の事業者との提携だ。

すでに、イリジウムのような衛星携帯電話サービスはあった。しかし、高い料金や専用の端末を必要とした。このために普及は進まなかった。しかし、既存の通信事業者と組むことで、膨大な顧客ベースと、その端末を利用できる。そのような合理的な判断ということだろう。

いずれにせよ、携帯電話も衛星からの電波の時代が来た。これは、すごいことだ。

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