巨額のAI投資

by Shogo

米国経済は好調が続いており、2024年もその勢いを維持しそうだ。株価もまだ伸びている。IMFが発表した「世界経済見通し」によると、2023年の米国のGDP成長率は2.5%で、G7諸国の中で最高だった。他の国が、まだ回復していないためか、日本は1.9%で2位だ。

IMFは、2024年の成長率を予想しており、米国の成長率は2.1%だ。日本は、0.9%で4位。どの国もパンデミック後のインフレとそれに対抗するための高金利という同じ問題にを抱えている。しかし、米国経済は、それでも好調だ。昨年は、米国株のハードランディングを予想する人もいたが、それは起こっていない。

しかしながら、IT業界におけるレイオフの状況は、大手テック企業を中心に進んでおり、2024年も続いている。2024年1月だけでも、70社以上のハイテク企業がレイオフに踏み切り、1万3000人以上の労働者が影響を受けたという。

このような状況で発表された AlphabetとMicrosoftの決算は対照的だった。Alphabetは、2023年第4四半期の広告収入がアナリスト予想に届かなかった。広告収入は前年同期比で増加したが、予想には届かなかったために株価が下落した。一方、Microsoftは、同じ期間で、売上高が前年同期比18%増の620億2000万ドル(約9兆1300億円)となり、2四半期連続で2桁増収を達成している。これは、生成AIへの需要増に加え、ゲーム会社の買収効果もあったようだ。

Alphabetでは、検索広告収入が伸び悩み、営業利益率が低下している。これは、AIへの投資の急増で最近のレイオフでも支出を相殺しきれていないということのようだ。Alphabetは、AI、特に新しいGemini AIモデルに多額の投資を行っている。先行するOpenAIやOpenAIの技術を取り込んだMicrosoftのCopilotへの対抗のための投資だ

2023年12月に発表された検索やクラウド・コンピューティングなどのための最先端のAIモデルとされるGemini AIを全製品やサービスに統合することが優先課題となっているようだ。AI分野で出遅れ感のAlphabet/Googleは、Bardチャットボットをリリースし、さらにGemini AIモデルを検索に統合しようとしている。また、Google Cloudを利用するAIスタートアップにAIサービスを提供するために多額の投資が必要なようだ。

また、Alphabetは、AIモデルの新興企業Anthropicに20億ドル以上を投資した。AnthropicはGoogle CloudとTPUチップをモデルに利用している。さらに、Character.AIに数億ドルを投資する交渉中だし、Hugging Faceと提携し、彼らのオープンソースAIツールをGoogle Cloud上でホスティングし、アクセスを増加させようとしている。

これらの企業のサービス、特にAnthropicのClaude2モデルとの関係は、よくわからない。素人目には、完全に競合するサービスだ。Hugging Faceなら、オープンソースで、これから登場するAIサービスのエンジンになるのは理解できるが、Claude2は売り出し中のChatGPTと競合サービスで、Geminiとも競合だ。数多くの選択肢を持ちたいということなのだろうか。

2023年10月-12月期が好成績だっMicrosoftは、全社をあげてAIサービスのCopilotにオールインだ。Copilotは、大企業からスタートアップまで旺盛な需要があることが決算発表を報告されている。53,000以上の組織・企業がAzure AIとCopilotツールを使用しているという。

そして、個人向けや企業向けのOffice 365などの製品にAIを導入した。個人向けは、OpenAIの有料版のChatGPT Plusと完全な競合だ。このあたりの棲み分けはあまり考えられていないようだ。これは、GoogleのClaud2と同じ関係だ。今は戦国時代で、数多くのサービスを提供して強者が生き残るということなのかもしれない。

AIの開発には巨額の投資が必要だ。まず、ハードウェアとインフラだ。 AI開発には、高性能なコンピュータや大規模なデータセンターが必要となる。これらのリソースは非常に高価であり、巨額の投資が求められる。OpenAIのイーロン・マスクなどからの資金が途絶えた後で、このハードウェアとインフラのためにMicrosoftに頼って、ChatGPTの開発を続けた。

そして、AI分野の特別なスキルを持つ専門家が必要となる。これらの人材の獲得や育成には、高額な人件費がかかる。さらに、継続的に新しい技術やアルゴリズムを開発する必要があることも大きい。このため、研究開発費用が莫大となっていくようだ。

このように、AlphabetとMicrosoftは、AI時代をリードする立場にあり、どちらも大規模なAI投資を行っている。しかし、AIがいつ収益をもたらすのかはわからない。この高額な投資を支える財政基盤がある両社は、どちらかが息絶えるまで戦い続けるのだろう。

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