AIチャットボット「Grok」がオープンソース化された。Grokは、イーロン・マスクのxAIが開発した大規模言語モデル（LLM）で、3140億ものパラメータを持つ高度なモデルだ。文章生成、翻訳、創作、質問応答など幅広いタスクをこなすことができ、使っていないから分からないが、ウイットに富んだ回答をすると報道されている。
Grokは、3140億のパラメータを持つ大規模言語モデルであり、その能力はコミュニケーション、クリエイティブな文章生成、さらにはコーディング生成に至るまで多岐にわたる。
イーロン・マスクは、彼が共同設立者の一人であるOpenAIについて、OpenAIがMicrosoftの出資を得て、クローズドな運営方針に変わり営利企業化したことに対して訴訟も起こしている。彼は、オープンソース化がAI技術の民主化、透明性とアクセス性を高めることによって、より広範な研究とイノベーションを促進するという考えを持っている。
他の主要なAIモデルと比較して、Grokはそのパラメータの数において優れている。例えば、OpenAIの無料で利用できるGPT-3モデルは1750億のパラメータを持っているが、これに対してGrokはほぼ倍の規模を持つ。有料版のGTP-4は、さらに多くのパラメータ数を持つが非公開だ。GoogleのGeminiやClaudeなど他の競合モデルも、それぞれ独自の強みと特色を持っているが、Grokのオープンソース化により、より多くの研究者や開発者がこれらの先進的な技術を利用し、改良する機会が生まれる。
イーロン・マスクがGrokをオープンソース化するという決定をした背景には、いくつかの動機と目的が存在すると思われる。
まず、イーロン・マスクは、テクノロジー、特にAIの分野において、民主化、透明性とアクセシビリティを主張してきた。彼の視点では、オープンソース化はイノベーションを促進し、より多くの人々にテクノロジーへのアクセスを提供する方法と考えたと思われる。
それから、イノベーションの促進だろう。オープンソースコミュニティからのフィードバックと貢献により、Grokの改善と発展が加速されるだろう。これは、過去にもLinuxのOSソフトウェアの開発で大きな実績をあげたという事例もある。
ただし、オープンソース化のリスクも有る。AIモデルは訓練データに含まれるバイアスを反映する可能性がある。オープンソースモデルでは、学習データの不適切な使用によりバイアスが増幅されるリスクも存在する。さらに、セキュリティ上の問題だ。オープンソース化されたAIモデルは、悪意のあるユーザーによる悪用のリスクが高まる。さらには、セキュリティが弱いモデルは、データ侵害や不正使用に繋がる可能性がある。
今回のGrokのオープンソース化は、AI市場の競争をさらに激化させる可能性もある。既存の大手企業だけでなく、新興企業や独立した開発者も、高度なAI技術にアクセスできるようになるため、市場に新たな動きが生まれるだろう。様々なサービスやモデルが生まれることは良いことだが、先に述べたようにリスクも顕在化する可能性がある。イーロン・マスクによるはGrokのオープンソース化、AIの将来において、業界全体の方向性に重要な影響を与えるだろう。
