若者の間ではTikTokなど、短尺動画プラットフォームの人気が高まり、YouTubeやInstagramなども若者に人気の中心的なSNSと考えられている。実際に日本でもFacebookのユーザー数は減少を続けており、そのユーザーも高齢化しているというのが一般的な理解だ。古いSNSとして役割りを終え、Facebook離れ進むと考えてきた。実際に個人的にもFacebookよりInstagramのほうをよく使うようになってきた。
しかし、Metaの発表によると、アメリカとカナダにおける18歳から29歳の若者層のデイリーアクティブユーザー数は、5四半期連続で増加し、4,000万人を突破したという。これは過去3年間で最高の数値であり、Facebookが若者の間で再び支持を得ていることを示していいるのだそうだ。Metaは、若者を取り込むための戦略的な取り組みを続け、ここに来て大きな成果を上げていると発表している。
Metaのサイトを読むと、その取り組みが紹介されている。Facebookは「次世代のソーシャルメディアユーザーのために、若者を意識した大きな変更を加えてきた」と説明している。この変更として、若者のライフステージの変化に対応した機能強化が挙げられている。大学進学、就職、一人暮らしなど、人生の転機を迎える若者にとって、Facebookは家具探し、恋愛、仕事探しなど、さまざまな場面で役立つプラットフォームという役割りを強化しているそうだ。
FacebookのMarketplaceでの掘り出し物探し、Reelsやグループでの興味関心の探求、地域コミュニティや地元企業とのつながり、Facebook Datingでの出会いの場など、Facebookは若者のニーズに応える多様な機能を提供しているのだそうだ。
具体的には、AIの活用を拡大し、動画やフィードのレコメンデーション機能を強化しているのだそうだ。2026年末までに「世界最高のレコメンデーション技術」の実現を目指すとしている。また、生成AIの「Meta Llama」を通じて、ユーザーの興味に合わせたより深い情報提供を可能にしていくとのことだ。ここでも、生成AIだ。
動画でも、リール動画や長尺動画、ライブ動画など、ユーザーが興味を持つ動画とのつながりを深められるよう改善。フルスクリーン再生や、長尺動画のシーンスキップ機能なども追加された。
クリエイター支援でも、Facebookは「Professional Mode」という機能を導入。フォロワーを増やしたい人向けにデザインされたこの機能は、リリースから18カ月で1億人以上の日間アクティブユーザーを集めたそうだ。また、クリエイターへの支払いモデルを改め、コンテンツのパフォーマンスに基づいて報酬を支払うようにしたとのこと。写真、動画、テキストなど、あらゆる形式でマネタイズの機会を広げているそうだ。
Facebookは「若者がソーシャルメディアに求めるもの」、つまりMetaによれば「世界を大きく、そして小さく広げるソーシャルディスカバリー」の実現に向けて、ユーザーの興味に合わせたコミュニティづくりや、AIを活用した最先端の機能開発に力を入れているのだそうだ。ライバルのTikTokやYouTubeもアフィリエイトプログラムの敷居を引き下げるなど、若者の取り込みに躍起になっている中、Facebookの巻き返しは効果を上げているということのようだ。しかし、若者向けの機能強化やAI技術の活用により、再び若者の間での人気を取り戻しているのは良いが、中心の高年齢のユーザーが離れてしまわないのか心配になる。