生成AIの利用状況

by Shogo

AppleとOpenAIの提携が金銭的な取引でなく、ChatGPT のiPhoneを通じた普及にOpenAIの目的があるだろうと書いたばかりだが、実際に、それを裏付けるデータがあった。YouGovがReuters Institute for the Study of Journalismのために行った最近の調査によれば、生成AIの利用率は想像していたより、はるかに低い。

調査結果の概要

2024年3月から4月にかけて、アルゼンチン、デンマーク、フランス、日本、イギリス、アメリカの6か国で実施されたオンライン調査のデータによれば、最も若い年齢層(18~24歳)でさえ、OpenAIのChatGPTを定期的に使用しているわけではない。日常的に使用していると答えたのはわずか9%で、週に1回以上使用しているのは18%にすぎない。月に1回の利用者は12%、一度だけまたは二度だけ使用したことがあるという回答でも17%だ。これに対して、44%の回答者はChatGPTを一度も使用したことがないと答えている。OpenAIの普及人口は2億人程度と言われていたので、考えてみれば、この程度の数字になる。だが、何となく、もっと利用率は高いと思っていた。

年齢が上がるにつれて、利用頻度の差が顕著になる。55歳以上の回答者の84%はChatGPTを一度も使用したことがなく、25~34歳の19%が少なくとも週に1回利用しているのに対し、45~54歳の年齢層ではこの割合は9%に減少する。

生成AIに対する認識と利用

調査対象となった6か国のオンライン人口の約50%がChatGPTを認知しており、これは最も広く認知されている生成AIツールだ。しかし、頻繁な使用は稀で、日本では毎日使用しているのはわずか1%、フランスとイギリスでは2%、アメリカでは7%。生成AIを使用したことがあると回答した人々の多くは一度か二度だけ使用した経験があり、まだ日常的なインターネット利用の一部にはなっていない。

それでも、この調査によると、多くの人々が今後5年以内に生成AIが社会のほぼすべての分野に大きな影響を与えると予想している。特に、ニュースメディアや科学分野への影響があると66%の人が答えている。使ってはいないが、話題になっているので今後の影響が大きいと判断しているのだろう。

この調査結果から生成AIの利用が一部の層に限定されている現状が明らかだ。今後、生成AIが社会全体に浸透していくためには、より幅広い層にとって使いやすいツールとなることが必要だろう。その意味で、OpenAIがAppleとの提携で、その道を模索しているということが想像できる。

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