快手が中国国内オリンピック放送権

by Shogo

TikTokのライバルとして知られるショート動画プラットフォーム「快手(クアイショウ)」が、東京オリンピックに続いて、パリ2024オリンピックの一部の放送権を、国営メディア企業で権利保有者の中国中央電視台(CMG)から獲得したと報道されている。

数億人ものユーザーを抱える快手は、サブライセンス契約によってオンデマンド動画と短編動画の権利を取得し、中国におけるオリンピック公式の権利保有放送局の1つとなる。

2大会続けて、このようなことが可能になるのは、快手が中国政府系ファンドが出資する上場企業であるからなのだろうか。

快手は以前にも、2020年東京オリンピックと2022年北京オリンピックの放送権もサブライセンスとして獲得したししており、NBA(米プロバスケットボール)やUEFAチャンピオンズリーグなど50以上の国際スポーツイベントとも契約してきた。中国では複数のデジタルプラットフォームがスポーツ放送権を分け合うのが一般的で、快手のようなショートビデオアプリの台頭により、オリンピックのような大型スポーツイベントの放送形態も多様化が進んでいるそうだ。これは、日本の状況とは違う。その理由は、日本ではテレビ局が構成するジャパンコンソーシアムが放送権を獲得してのデジタルプラットフォームにサブライセンシングしないからだろう。日本での似た例としては、FIFAワールドカップ・カタール大会でテレビ局とABEMAが放送権を分け合ったが、これは電通がFIFAの代理店として機能したからだ。それ以外ではあまり例がない。

だが、中国では国営メディア企業が放送権を獲得して、政府系のファンドが出資するデジタルプラットフォーム企業にサブライセンスするスキームが獲得しているようだ。その方が視聴者にとっては楽しみ方が増えて良いと思うが、日本のような民間企業が中心の場合には調整する機能や期間がないから難しいのだろう。

それはさておき、快手が海外進出に成功していないのか不思議に思っていた。

快手は、中国の北京快手科技有限公司が開発・運営しているモバイル向けのショートビデオアプリだ。中国本土版の「快手」、南米版の「Kwai」、南アジア地域版の「Snack Video」の3種類がある。アメリカ進出は、2020年にZynnとして進出したが翌年にはアメリカ市場からは撤退している。その理由は、いくつかあるようだが、中国ではがTikTokの中国版の「抖音(Douyin)」と共存しているが、アメリカではTikTokが普及していて、ショートビデオの市場に食い込めなかったようだ。TikTokクリエイターの作品をZynnが盗作したとか、クリエイターへの報酬制度が批判を浴びたりしたようだ。様々なことが重なって1年程度での撤退となったようだ。

しかし、データが古いが2021年時点で、快手は世界で2億人以上のユーザーをいて、ブラジルなど8カ国でGoogle PlayとApp Storeの「最もダウンロードされたアプリ」ランキングのトップに立っているそうだ。日本では、南アジア版のSnack Videoもダウンロードできないようだ。今後も、中国ではTikTokと争って、TikTokが弱い海外市場に注力していくのかもしれない。

だが、最終的には中国国内だけでも巨大な市場だから、中国政府系として十分生き残ってゆくのだろう。つまり、中国は、そのような政府が主導するエコシステムが確立しているということなのだろう。

You may also like

Leave a Comment

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

error: Content is protected !!