最近話題の多いPerplexity AIが広告収益モデルへ進出する。AI検索アプリでの広告配信を2024年第4四半期に開始する予定だそうだ。この計画は、広告収益を通じて成長を図る重要な一歩となる。
Perplexity AIは、AIによる検索アシストを特徴とするアプリで、ダウンロード数は200万を超え、月間検索クエリ数は2億3,000万件に達しているという。この急成長は、同社が2024年4月に資金調達を行い、評価額が10億ドルを超えたことにも反映されている。出資者にはソフトバンクも含まれていて、ソフトバンク契約者には有料版が1年間無料で使えるようになるようだ。
個人的にも、Perplexity AIが最も使っている生成AIサービスになっている。その理由は、生成AIと検索の中間のようなサービスでハルシネーションの問題がないことが大きい。文章の作成を行わないからかもしれない。Perplexity AIは今後さらに成長が見込まれるので、広告での収益化の可能性はある。成功すれば、Googleの検索連動型広告(リスティング広告)への影響が出るだろう。
しかし、Perplexity AIには課題もある。特に、コンテンツの盗用疑惑がメディアの注目を集めた。ForbesやWiredは、同社が記事を無断で利用していると指摘し、批判が高まった。この問題に対応するため、Perplexityはソースの引用方法を見直し、適切なクレジットを与えるための改善を行っているというが、使用している限りはあまり変化はない。
広告モデルの詳細については、まだ発表されてはいない。現時点の情報では、CPM(1,000インプレッションあたりのコスト)に基づいており、その価格帯は50ドル以上とされている。これは、デスクトップ広告の平均的なCPM(約2.50ドル)やモバイルビデオ広告(約11.10ドル)と比較しても高額だ。高額な理由として、Perplexityのユーザー層が専門性の高い層で構成されている点が挙げられている。ユーザーの80%以上が学士号を持ち、そのうちの30%がシニアな役職に就いているということだ。
広告カテゴリーとしては、テクノロジー、健康・製薬、アート・エンターテインメント、金融、食品・飲料が想定されているようだ。広告は、回答ページの右側に表示される。
Perplexityは、収益の一部を出版社に還元する「Publishers Program」も開始している。検索エンジンで広告収益が発生した際、情報元である出版社に収益の一部を分配する仕組みだ。すでにFortuneやTime、Der Spiegelといったメディアがこのプログラムに参加しており、今後も30のパートナーを目指しているようだ。
Perplexity AIのAIによる検索は、Googleのキーワードベースのエンジンとは異なり、ユーザーの意図を理解し、文脈に合わせたパーソナライズされた結果を提供することが期待されている。Perplexity AIの競合には、OpenAIが開発したSearchGPTやGoogleのAI Overviewsなどがあり、これらが次世代の検索エンジンを形成してゆくと思われる。
Perplexity AIは、広告収益とパートナーシップを通じて、成長と収益化を進める戦略を展開する。同時に、コンテンツの利用に対する批判に対処しつつ、AI検索という新たなサービスを切り開こうとしている。
Googelが、当初は収益化の術がなかったところに検索連動型広告を導入して成功した。同じように、Perplexity AIも広告モデルの導入で成功するのかどうか注目だ。