エムポックスで緊急事態

by Shogo

サル痘(mpox)についての記事を読んだ。知らなかったが、サル痘は「エムポックス」に感染症法上の名称が変更されたということだ。

そのエムポックスの流行が、2024年8月14日に世界保健機関(WHO)により国際的な公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)であると宣言されたという記事だ。この流行は特にアフリカで急速に拡大しており、新たなウイルス株である「クレード1b」が主な原因とされているようだ。この株は特に感染力が強く、中央アフリカを中心に深刻な影響を与えているという。

エムポックスは、元々アフリカの中央および西部で小動物を介して人に感染するウイルス性疾患として知られており、1970年にコンゴ民主共和国で最初に人間への感染が確認された。しかし、近年では性的接触を通じて広がるケースが増え、新たな感染パターンが問題視されているらしい。2022年には、クレード2bという株が多くの非流行地域で流行し、87,000人以上が感染し、140人が死亡した。この際、ワクチン接種と公衆衛生情報の提供が功を奏し、2023年5月にWHOは緊急事態を終結していた。最近は、名前を聞かないと思っていたが、そのような経過だったようだ。

エムポックスの潜伏期間は7〜14日(最大21日)で、その後発熱、頭痛、リンパ節腫脹などの症状が現れ、発熱の1〜3日後に特徴的な発疹が出現するという。発疹は水疱、膿疱、かさぶた(痂皮)へと変化し、2〜4週間で治癒する。

痘そうワクチンがエムポックスの予防にも有効とされているが、日本では市販されていない。一部の国では、曝露後予防としてワクチン接種が行われているそうだ。治療薬としては、シドフォビルやテコビリマット(ST-246)などが有望視されているらしい。どの程度有効なのかは、現状の流行をみるかぎり怪しい。

2022年の流行では、欧米を中心に多数の患者が報告された。その後全体の報告数は減少したが、2023年3月以降は東アジアや東南アジアなどからの報告が増加している。2023年8月時点で、コンゴ民主共和国では1万7000例以上、537人以上の死亡が報告されているようだ。すでに世界各地で患者が発生しており、104の国と地域に広がっているという。

日本では2022年7月に1例目の患者が確認され、2024年1月時点でも散発的な発生が続いているそうだ。2024年1月26日時点の国内の累積報告数は234例。

このような記事を読むと新型コロナ感染症の悪夢が蘇る。止めようとしても日本国内に感染がもたらされることは確実だから、ワクチンや治療薬の早急な開発・販売が望まれる。

とりあえず、エムポックスの予防には、感染者との接触を避けること、石鹸と水で手をこまめに洗うこと、ワクチン接種などが有効だそうだ。コロナ禍が終わったと安心せず、手洗いや顔を手で触らなように引き続き気をつけることが必要だ。

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