YouTubeの新たな広告展開が始まった。一時停止画面にも広告の表示が開始された。この動きは、DirecTV、Sling TV、Huluなどのストリーミングサービスが既に導入している一時停止画面広告と同様のものだ。
YouTubeは2023年に一部の広告主を対象に一時停止画面広告の試験運用を開始した。この広告は、ユーザーが動画を一時停止すると、画面のサイドに表示されるものだ。スマートフォンで全画面再生中に一時停止した場合や、縦向きで視聴している場合でも広告が表示されるようになる。
この広告の名称は、アメリカでは「ポーズ広告(Pause ads)」だが、日本ではまだ名称が定着していないので、分かりやすいように「一時停止画面広告」と呼んでおく。
当初は限られた広告主を対象に試験運用されていたが、現在は全広告主が利用できるようになった。Googleは、この広告が「視聴体験をあまり中断しない」ようデザインされていると主張している。だが、一方で、ユーザーからは不満の声も上がっているようだ。特に、動画を一時停止する理由の多くが内容をよく見たり考えたりするためであることを考えると、この広告形式はユーザー体験を損なう可能性があるというのが理由だ。
先に書いたように、一時停止画面広告自体は新しい概念ではない。AT&TのDirecTVやHuluのようなストリーミングサービスでは、低価格のサブスクリプションプランを利用している場合、一時停止画面に広告が表示される。また、AmazonのFireタブレットなどの一部の製品でもロック画面に広告が表示され、Amazonは今年5月、リビングルームデバイス向けの広告スペースを拡大する計画を発表している。
今回のYouTubeの新たな広告展開は、広告主にとっては新たなチャンスだし、YouTube.comにとっては新たな収益源だ。だが、無料プランのユーザーにとっては、動画視聴中に広告がさらに増えることで、不満が高まる可能性があるだろう。
YouTubeは今後、ユーザーからのフィードバックを踏まえ、広告表示の頻度や表示方法などを調整していくという。また、プレミアムプランの加入者に対しては、一時停止画面広告を非表示にするなどの対応も考えられているようだが、これについては発表されていない。だが、これは当然、表示されないだろう。でなければ、何のために課金しているか分からない。このように、広告というものはどこにでも出てくるものなのだ。ユーザーの立場から、一般的に言えば邪魔なものだ。だが、事業者は違う見方をする。