今後のiPhoneの価格

by Shogo

トランプ大統領の関税政策が世界のサプライチェーンに大きな影響を与える中、特に注目されているのがAppleのiPhoneだ。個人的にも、iPhone17への買い替えを検討しているので、今秋のiPhoneの価格が気になる。

トランプ政権は2025年4月に中国からの輸入品に対して最大145%の高額関税を課した。この強硬な貿易政策に対し、多くの企業が対応を迫られる中、4月11日には米国税関・国境警備局(CBP)がスマートフォンやコンピュータなど一部の電子機器を「相互関税」から除外すると発表している。

しかし、この除外措置は完全な免除を意味するものではないという。トランプ大統領自身が「これらの製品は単に別の関税『バケット』に移動するだけだ」と述べ、半導体と電子機器のサプライチェーン全体に関する「国家安全保障関税調査」を行う意向を示している。

Appleの対応:インドへの生産シフト加速

この不安定な貿易環境に対応するため、Appleは中国依存からの脱却を急速に進めている。英フィナンシャル・タイムズによれば、Appleは2026年末までに米国向けのiPhone全てをインドで生産する計画を立てているようだ。

この計画では、インドでのiPhone生産量を現在の年間4000万台以上から8000万台へと倍増させることになるそうだ。Appleの米国での年間iPhone販売台数は約6000万台であり、インドでの生産拡大はこれをカバーするのに十分な規模となる。

日本におけるiPhone価格の現状

私に重要なのは、現在のiPhone価格が世界的に見てどのレベルにあるのかという点だ。MM総研の調査によれば、日本のiPhone価格は世界39の国・地域の中で3番目に安い水準にあるようだ(iPhone 16 Plusを除く)。

具体的には、iPhone 16(128GB)の日本での価格は124,800円で、世界の他の国々の平均147,611円よりも約22,800円安くなっている。同様に、iPhone 16 Pro(128GB)は日本で159,800円であり、世界平均の243,023円よりも約38,200円安い価格設定だ。これは、日本の賃金の低さを考慮した価格設定なのだろう。

また、考えなければいけないのは、為替レートの影響だ。2025年4月の円ドル為替レートは140円台で推移しており、4月21日には140.7564円と2025年の最安値を記録した。この為替レートの変動は、輸入製品であるiPhoneの価格設定に大きな影響を与えるだろう。MM総研は「日米金利差の縮小による円高揺り戻しでiPhone販売価格の値上げを回避か」と分析している。

インド生産シフトによる影響と今後の日本市場への見通し

Appleのインドへの生産シフトは新しい動きではなく、段階的に進められてきた。2023年度には世界のiPhone生産量の14%がすでにインドで組み立てられている。インドでのiPhone組立はフォックスコン(67%)、ペガトロン(17%)、タタ・グループ(16%)によって行われており、生産能力の拡大が急ピッチで進んでいるようだ。

このインドシフトはCOVID-19パンデミック時の中国のゼロコロナ政策によるサプライチェーン混乱がきっかけとなり、米中貿易摩擦の激化で加速した。特に注目すべきは、最新機種の高スペックモデル「iPhone 16 Pro」もインドで生産されるようになったことだろう。この時期から、インドでの販売も積極的に進められてきた。

日本市場への価格影響の見通し

トランプの関税政策とAppleのインド生産シフトが日本のiPhone価格にどう影響するかについては、いくつかの要因を考慮する必要がある。

  • 関税コストの転嫁  現在20%の関税が継続しており、このコスト増がどの程度価格に転嫁されるかは不透明。
  • 為替レートの変動  円安が進めば輸入コストが上昇し、価格上昇圧力となる。一方、円高に転じれば価格維持がしやすくなる。
  • グローバル価格戦略  日本のiPhone価格は世界的に見て安い水準にあり、Appleがグローバルな価格バランスを考慮して日本での値上げを検討する可能性があるかもしれない。
  • インド生産のコスト構造  インドでの生産コストが中国と比較してどうなるかも重要な要素だ。人件費などのコスト増加があれば、最終的に価格に影響する可能性がある。

トランプ関税による米国価格の上昇リスクと、すでに進行している円安。これらの要因を踏まえると、今後の日本におけるiPhone価格は上昇傾向が続く可能性が高いと考えるのが自然だ。

Appleの生産拠点の多様化は長期的なリスク分散に繋がる可能性があるが、短期的には移行に伴うコストや、地政学的なリスクによる影響も考慮する必要があるだろう。また、Appleはブランド力を維持するために高価格戦略を取る傾向があり、新機能の搭載などによる製品自体のコスト上昇も価格に反映される要因となる。特に次回のiPhoneは高機能とデザインの変更が噂されており、高価格が予想される。

一方で、日本市場の特性や競合他社の動向も価格設定に影響を与えるかもしれない。現在の日本のiPhone販売価格は世界的に見ると比較的安価な水準にあることあり、今後の価格改定の幅に影響を与える可能性も考えられる。

結論として、トランプ関税の直接的な上乗せは考えにくいものの、米国の価格動向やAppleのグローバル戦略、そして円安の進行といった複数の要因が複合的に作用し、今後も日本のiPhone価格は変動し、それが高価格に振れる可能性が高いのは確実だ。

もちろん、スマホには選択肢がたくさんあるのは事実だが、PCやタブレットとの連携を考えると、個人的には、iPhoneしか選択肢がないのも事実だ。しかも、iPhone17に買い替えるので、まだ安いうちに買い替えるということができないのが残念だ。

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