Skype がサービスを終了するというニュースを見て、最近はSkypeを使っていなかったことを改めて思い出した。2007年から2009年の中国駐在中はSkype を家族との連絡に日常的に使っていた。その後も、仕事などで使うこともあったが、いつの間にか使わなくなっていた。
調べてみると、Skype は2003年に誕生していた。Skype は、インターネットを使った無料の音声・ビデオ通話やチャット機能を世界中に広めた先駆的なサービスだ。国際電話の高額な通話料を気にせず、家族や友人、仕事の連絡先と無料で会話できる便利さから、Skypeは一躍グローバルスタンダードとなり、「Skypeする」という言葉が生まれるほどだ。
2005年にはeBayが買収し、その後2011年にMicrosoftが約85億ドルでSkypeを取得。Windows Live MessengerやLyncといった自社メッセージングサービスをSkypeに統合し、Windowsの標準アプリとしても長く使われた。多分、Microsoftのサービスに統合されたことで、私の場合には使う機会が減ったのかもしれない。
Skype終了の理由
1. 技術と時代の変化
Skypeの登場当時は、パソコンを中心としたP2P(ピア・ツー・ピア)技術が画期的だったが、スマホとクラウドの普及によって、ユーザーは「どのデバイスからでも」「よりシームレスに」会話することを求めるようになった。Skypeのアーキテクチャはデスクトップ時代に最適化されており、こうした新しいニーズへの対応が難しくなっていった。実際によく使っていたのは、スマホで使えるFaceTimeやLINE、Messengerだ。
2. 強力な競合サービスの台頭
2010年代後半からはZoom、Google Meet、Slack、FaceTimeなど、より高品質で多機能なコミュニケーションツールが次々に登場。ビジネスシーンでもプライベートでも、Skypeのシェアは徐々に奪われていった。コロナ禍でのZoomの爆発的な普及が、最後の藁一本だったのだろう。
あの頃から、Zoomはビデオ会議分野で圧倒的な存在感となり、1日あたり3億人のアクティブユーザーを抱え、リモートワークの代名詞となっている。
3. Microsoft自身の戦略転換
Microsoftは2016年に「Slack」に対抗する形でMicrosoft Teamsをリリース。Teamsはチャット、ビデオ会議、ファイル共有、カレンダー管理、コミュニティ機能など、Skypeを大きく上回る多機能な統合型プラットフォームとして急速に成長し、2024年には月間アクティブユーザーが3億2000万人を突破した。
この流れの中で、Microsoftは「無料の消費者向けコミュニケーションサービスを合理化し、顧客のニーズにより容易に適応できるようにするため、Skypeを終了しMicrosoft Teamsに注力する」と公式に説明している。
Skypeの終了は、技術の進歩とユーザーのニーズ変化、そして競争環境の激化という「時代の必然」によるものだ。これまでも、MSN Messenger/Windows Live MessengerやiTunesなど、同様の理由で消えていった。
Skypeが買収されずに、独自に新しい環境に適応して進化したり、新しいサービスを開発していたらとも考える。多分それでも難しかっただろうが、あの呼び出し音が懐かしくて感傷的に、そのように考えてしまう。国際通話が、インターネットを使って無料で出来る画期的なツールだったが、歴史的な役割を終えたということなのであろう。