AppleのPerplexity買収?

by Shogo

個人的に久しぶりのビッグニュース。Bloombergの報道によると、AppleがAI検索スタートアップ「Perplexity AI」の買収について内部協議を行っていることが明らかになった。この買収が実現すれば、評価額140億ドル(約2兆2000億円)という規模で、2014年のBeats買収(30億ドル)を大幅に上回るApple史上最大の案件となる。

Perplexity AIは、最近は検索に最も使っているサービスだ。それは、「会話型AI検索エンジン」だからだ。質問を投げかけると、単にリンクの一覧を返すのではなく、ウェブ上の最新情報を基にAIが要約された文章で直接回答を生成する。その際、情報の参照元ソースを明記するため、信頼性が高く、ハルシネーションの確認も簡単だ。しかも、関連質問も例示されるので、本当に使える検索だ。

データを調べてみると、2025年4月時点で月間アクティブユーザー数は1,500万人を超え、5月には7億8,000万件ものユーザーリクエストを処理している。

報道を読むと、AppleはなぜPerplexityを欲するのかの理由が説明されていた。

1. 生成AI開発の遅れを取り戻す

Appleは「Apple Intelligence」を発表している。しかし、OpenAIのChatGPTやGoogleのGeminiなどが市場を席巻する中、Appleが生成AI分野で後れを取っているという認識は業界内外で共通している。株主からは、Siriの機能向上遅延などを理由に訴訟を起こされる事態にまで発展した。

Perplexityの買収は、この状況を打開する「特効薬」となり得る。実績のあるAIサービス、それを支える優秀なAI人材と技術を一気に手に入れることで、開発の遅れを劇的に挽回できる可能性があるからだ。

2. 年間200億ドル契約のGoogle検索の終焉

Appleは、GoogleをiPhoneなどのデフォルト検索エンジンに設定する契約により、年間約200億ドル(約3兆2000億円)もの巨額の収益を得ている。しかし、この契約は米司法省が起こした反トラスト法訴訟の槍玉に挙げられており、将来的に無効となるリスクを抱えている。

もしこの巨大な収益源が絶たれれば、Appleは代替となる検索ソリューションを早急に見つけなければならない。PerplexityのAI検索技術は、その最有力候補となり得る。

3. 「Siri」の抜本的改革

Appleの音声アシスタント、Siriは、登場から10年以上が経過した今も、その性能について厳しい評価が絶えない。個人的にも使うこともない。Perplexityの高度な自然言語理解能力とリアルタイムのウェブ検索能力を統合できれば、Siriを単なるコマンド実行ツールから、真に有能な対話型AIアシスタントへと改良できる。

報道によると、Appleの選択肢は完全な買収だけではなく、提携も選択肢のようだ。だが、Perplexity AIも買収に応じるかということもある。

Metaも、かつてPerplexityの買収を試みたが、金額面で折り合わなかったと報じられている。その後、MetaはAI開発のデータを提供する「Scale AI」に巨額の投資を行うなど、AI分野への投資を加速させている。最も直接的な脅威は、Appleの最大のライバルであるSamsungの存在のようだ。PerplexityはSamsungと大規模な提携契約を間近に控えているとされ、もし実現すれば、Appleが独占的なパートナーシップを結ぶことは困難になるようだ。

AppleによるPerplexityの買収または提携の噂は、AIを軸に、テクノロジー業界が動いていることの例の一つだ。買収資金の豊富なAppleにとっても、不確定要素は多い。これがどうなるか不確定だ。それでも、AppleがAI戦略の重大な岐路に立たされていることは間違いない。

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