アメリカとヨーロッパの間を飛んでいたコンコルドは、その経済性や安全面の不安、その結果としての需要の減少ために、2003年に引退した。今はマーケティングなどにおいて、コンコルド効果と言う言葉が、埋没費用の別名として残っている。投資を続けると損失が大きくなると分かっているが、それまでの投資のを惜しむあまり投資を続けてしまう心理的な傾向のことだ。
コンコルドの引退から20年経って、超音速機が就航する可能性が出てきた。ユナイテッドは、超音速機を作るスタートアップのBoom Supersonicに15機のオーダーしたと言う事だ。2025年に機体が発表され、2026年にはテスト飛行が開始される予定だ。新しい飛行機の名前はOvertureと命名される予定で、2020年代の終わりまでに実際に乗客を乗せて運行される計画という。
少し驚いたのはこのBoom Supersonicには、日本航空が投資家として参加しているということだ。と言う事は。将来実際にOvertureが使われるようになると、日本からアメリカやヨーロッパなどに超音速機が就航するのかもしれない
飛行機メーカーは、機体製造とエンジンが別だが、Overtureのエンジンはロールスロイスが作るようだ。その新しいエンジンはコンコルドに比べて75%も効率が改善され、コンコルドのような大きな音を立てないらしい。
まだ決まっていない事は、航空運賃だ。当然高いと予想されるが、コンコルドのように、ファーストクラスよりも高い値段だと、同じように需要が限定され、ビジネスにならない。技術的に可能なことと、それが経済合理性に見合うかどうか。短い時間で出張が可能になると言うメリットがある一方、出張が必要かと言うことも持論としては出てくる。特にパンデミックで出張が停止されている中で、Zoomなどでビジネスを行っている現場を見ると、果たしてどれだけのビジネス出張がこの超音速機を利用する事になるのか不明だ。
とは言え技術の進歩で、新しいものが生み出されると言うのはワクワクするような興奮を覚える。