Facebookを創業したマークザッカーバーグは、昨年社名のFacebookをMetaに変え、メタバースの実現に会社の将来をかけると宣言した。
そのメタバースが、どのようなものが公表された映像から見る限り、今までに考えられている仮想現実の中で様々なことを行うこと以外に、具体的なアプリケーションが示されていない。これだけであれば十数年前に人気になったSecond Lifeの世界を超えるものではない。
仮想現実(VR)や拡張現実(AR)は、部分的には様々なところで既に使われ始めている。それにメタバースと言う言葉が当てはめられたのは、昨年からだ。その際によく言われるのは、メタバースが実現している世界は、ゲームの世界だと言うことだ。ゲームをやらないので現実には体験していないが、あつまれ動物の村やフォートナイトといったゲームは、すでにメタバースであると言う。
また、すでに多くの企業も同様の取り組みを開始している。その中の1社の日産自動車は、先週、電気軽自動車の日産さくらの新車発表会をメタバースで行った。単純にオンラインでの発表とも言えるが、3Dの画像を使い、人物や車が3Dのデータ形で登場する。ゲーム用の画像処理能力の高いPCを使うとかなり精細な映像が見られたと言う。またMetaが販売しているヘッドセットのQuest2でも見ることができたようだ。
このように、メタバースに多くの企業が取り組みを始めている中で、Appleも来年ヘッドセット発売すると言う記事を読んだ。仮想現実と拡張現実を融合させる機能を持つと言う。具体的アプリケーションについては何も発表はない。
記事の中では、そのヘッドセットのビデオコンテンツを開発するために、ハリウッド監督のジョン・ファヴローを起用したと言うことだ。同氏はApple TV+で放送されているPrehistoric Planetのエグゼクティブプロデューサー。このアップルのヘッドセット用のビデオの中で3Dの恐竜を再現するという。
Appleが仮想現実と拡張現実のためのヘッドセットを発売すると、メタバースの実現のための競争に参加することになる。すでにMeta以外にMicrosoftやGoogleも3D映像と物理世界を融合させるためのソフトウェアのエアハードウェアの開発を行っている。商品化されているものは、現時点ではMetaのQuest2だけだが今後様々な商品が登場登場することが予想される。
マーク・ザッカーバーグによれば、インターフェースとしてPCのWindowsとMacintoshの時代が何十年も続いて、今はAppleのiOSとGoogleのAndoroidのスマホ時代に入っている。しかし、コンピューティングは、メタバースに置き換えられると言うことだ。それは、いつのことになるのだろう。
このような話を散々聞くが、十数年前のSecond Lifeの時にも同じような議論があった。しかしながら、人々は仮想現実の中でのやりとりには満足できなかった。具体的に何ができるのか、あるいは今までやっていることの何を置き換えるのかが現時点では全くわからない。可能性のあるものとして、会議が考えられる。しかしこれも、ビデオの機能があって画面に顔が写し出されるさせる場合であっても、音声のみで行うことも多い。その現状に対して3Dの映像で会議ができますと言う事は果たして売りになるのだろうか。
MetaのQuest2にしても、現時点で使われているのはゲームやフィットネスだけだ。
メタバースが提供するであろう仮想現実の遊びは、たぶん面白いのかもしれない。しかしそれはそれである以上でもそれ以下でもない。多くの人は興味を持たないだろう。
Appleが来年発売すると言うヘッドセットはどのようなものなのか現時点ではわからない。少し常人では思いつかないような素晴らしいアプリケーションがない限り、Quest 2と同じ用途で使われるApple製品と言うことになるかもしれない。