広く信じられていることが、後から間違いだったと言うことがよくある。健康に関する情報も同じで、以前はコーヒーは体に悪いと信じられてきた。焦がした豆から作った飲み物は、がんを起こす可能性が高いと自分でもそう思っていた。しかし好きなのでやめられないで飲んでいると、そのうちにコーヒーの健康効果について多くの研究が発表されるようになってきた。今ではクロロゲン酸などたくさんのポリフェノールが含まれており、1日3杯か4杯程度であればむしろ飲んだ方が良いと言うことになった。
チョコレートも同じで、チョコレートの健康効果など聞いたこともなかった。チョコレートの原料のココア豆には植物繊維とともに天然の化学物質をたくさん含んでおり、その中でもフラバノールと言われる化合物は健康への効果が期待できるそうだ。
チョコレートに含まれる化合物の効果で、チョコレートは血圧を下げ、血中コレステロールや血管の健康状態を改善すると言うことだ。また長期にわたる観察研究によって、特定の心血管系疾患のリスクが低いことも報告されている。1日20グラムのチョコレートの摂取によって心血管へ疾患のリスクを6%減少させると言う研究もある。
アメリカで21,000人以上の高齢者を対象にした大規模な研究が行われた。その結果は6月にThe American Journal of Clinical Nutrition誌に発表された。この研究では参加者の半数に500ミリグラムのココアフラバノールを含む濃縮カカオのサプリメントを与えられ、残りの半数にはプラセボが与えられた。
研究者は参加者を3.6年間追跡調査し、プラセボ群と比較して、ココアサプリメント群は心臓発作や脳卒中などの心血管の発病を抑える確率は統計的に低くなかったが、心疾患死亡が27%減少したことを発見した。
このような研究結果を読んで、いつも思うのは他の要因が関係してないかと言うことだ。しかしこの研究では、対照群と合わせて21,000人が参加している大規模なものだから、他の要因の影響は考えなくて良いのかもしれない。
だが、問題はチョコレートそのものではなく、濃縮カカオエキスのサプリメントを使った実験であると言うことだ。通常のチョコレートであれば、ダークチョコレートでも、それだけの量を食べられない。
さらにこの研究はチョコレート会社のマースからの資金提供を受けて行われているので、そこも割り引いて考えなければいけない。
しかし、それでもダークチョコレートの健康効果はある程度はあると考えて良いと思っている。他にもたくさんの研究が行われているからだ。