SONYがスポーツデータ可視化会社を買収

by Shogo

SONYがBeyond Sportsと言うオランダの会社を買収した。Beyond Sportsは、スポーツの試合の映像をAIを使って解析し、選手のトラッキングデータを使って、リアルなシュミレーションを作成することができる技術を持っている。既に多くのプロスポーツクラブが様々な目的で使い、テレビ番組の制作も行っている。例えば、アメリカのニッケルオデオンで放送された番組では、NFLの試合を、選手の動きを、そのままティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズが正確なフォーメーションで再現した。この番組は今後もNFLのファンエンゲージメントの一環として継続するようだ。

この技術を使えば、試合の映像を様々な形で再現することができ、NFLのようにファン向けのコンテンツを制作することもできるし、スポーツチームにとっても多くの利用方法があると思われる。

SONYは、既にいくつかのスポーツにおける重要なテクノロジーを所有している。その1つのホークアイは2011年に買収したホークアイ・イノベーションズが運営する審判補助システムである。球技で試合中にボールの位置や軌道を分析して、それをCGで再現することができる、これはすでにテニスの国際大会などでよく見る映像だ。この映像を使って審判が判断する。試合を放送するテレビ局にとっても面白いコンテンツだ。

あるいはSONYの別の子会社では、ワールドラグビーやプレミアリーグなどの連盟やバルセロナFCなどの個別のチームを顧客に持つファンエンゲージメントのサービスを行っている。ここにBeyond Sportsのデータ可視化技術が加われば、ファン向けに様々なサービスが可能になる。

SONYは、今後これらの技術を組み合わせて、リーグ、国際連盟、放送局などを対象に、スポーツのデータ可視化とファンむけのコンテンツの制作のビジネスに踏み込んでいくのだろう。スポーツ側からとっても自らのコンテンツである試合のデータを、ゲームやメタバースの世界に移し変えるようなことも可能となり、新たな収益源やファンとのエンゲージメントを拡大することとなることができる。

SONYにとっても、既に持つ技術をBeyond SportsのAI可視化技術と組み合わせることによってワンストップで、スポーツ組織や放送局など様々なところに売ることができる。

SONYはエレクトロニクスの会社から出発して、すでに映画、ゲーム、音楽の分野で確固たる存在感を持つ。すでに以前より、物理的な重さを持つプロダクトの値段は最も安いから、エレクトロニクスからソフトへ重心を移すのは自然な進化だ。多くの日本企業が、それができていないところに今の日本の低迷がある。

しかし、そのSONYも、現時点ではスポーツの分野においては、優れた技術を所有し、かつ利用されているが、音楽や映画、ゲームの分野に比べると大きな存在感があるとは言えない。

Beyond Sportsの技術を組み合わせて、スポーツ団体やファンに、スポーツを見やすい形で提供できるようになれば、SONYのスポーツにおける存在感はさらに高まる。

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