FTXの倒産とスポーツ

by Shogo

暗号資産取引所のFTXが、連邦破産法11条の申請を行い、事実上倒産した。この数日、新聞などにFTXの話題が数多く出ていた。個人的には、暗号資産に興味は無いので、FTXのビジネスに詳しくはなかったが、FTXは、数多くのスポーツのスポンサーシップを行っていて、スポーツ界でも有名な会社だ。その文脈で創業者のサム・バンクマン・フリードは様々なイベントにも顔を見せて、よくニュースにもなっていた。

それにしても、暗号資産のビジネスはよく理解できない。経済的なことはよく分からないので、なぜ価値があるのか理解できないのだ。なんとなく宝くじを買っているような、そんな印象も受けていた。その暗号資産の価格は乱高下して、暗号資産への投資は、まるでルーレットに賭けるようなものと感じていた。今年の春には、暗号資産全体で100兆円の暴落が起こったとも報じられていた。

ただし、FTXは景気は良かったようで、多くの選手やチームのスポンサーシップ契約を行っていた。FTXの経営者や影響を受ける投資家は、自己責任だから仕方がない。しかしながら、スポーツ界のFTXのスポンサーシップを契約していたチームや団体は大きな影響受けることになる。

まずマイアミ・ヒートのホームのアリーナの命名権を19年間1億3500万ドルで、マイアミ市当局は契約をしていた。

契約済みのスポンサーのメルセデスのF1チームはFTXとの契約を停止して車や装備からFTXのロゴを外したと報じられている。メルセデスF1チーム以外でも、FTXは数多くのスポーツスポンサーシップの契約を行っており、MLB、ゴールデンステート・ウォリアーズ、カルフォルニア大学バークレー校、トム・ブレイディー、ステファン・カリーなど多くのスポーツ選手や団体が大きな影響受ける。さらに、大谷翔平や大阪なおみも、FTXのCMに出演しており、現時点の契約はどうかわからないが、何らかの影響があるのかもしれない。

今までにも長期の命名権を持つ企業が倒産をしたことが何度もある。その際に、毎回問題になるのは施設を所有する企業や自治体が大きな影響受けることである。命名権の契約金をエスクロー・アカウントなどに預金させることで、契約の履行を求めることができれば最善だが、そのような事は難しいのだろう。今回のマイアミ・ヒートのスタジアムの契約もマイアミ市当局にとっては、今後の事務・法律手続きの費用等も馬鹿にならないであろう。

FTXが発行していたFTTトークンと呼ばれる暗号資産(多分これも一緒の暗号資産なのだろう)が大量に売却されて、今回の信用不安につながったようだ。暗号資産のような取引の対象資産は、そもそも信用と虚構によって成り立っている。それを支えるどこか一角でも崩れれば、そもそも何もないものである。国が発行する紙や金属の現金も同じだが、少なくとも発行している国が存続する限りは、価値の多寡は別にして何らかの価値を持ち得ると言う幻想は残る。

紙幣の始まりは、イギリスの民間の金の販売会社が、預かり証として出していた紙が始まりだそうだ。(と何処かで読んだ)それをイギリスの中央銀行が同じように紙をを紙幣として使い始めたそうだ。ただし、この時点で金との交換が保証されていた。それは、今はなく虚構で成り立っている。暗号資産は、その虚構を誰も彼もが始めた危ないビジネスに思える。経済の素人だからよく分からないが、あまり近寄りたくないものだ。何年か前のビットコインの高騰の際に友人に勧められたが、手を出さなくて良かったと改めて思う。

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